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JR九州高速船に全国初の「解任命令」…浸水隠し3か月運航、国交省「極めて悪質な違反繰り返した」

読売新聞 / 2024年9月17日 20時52分

「クイーンビートル」

 JR九州高速船(福岡市)が博多―韓国・ 釜山 プサン港を結ぶ旅客船「クイーンビートル」の浸水を隠して3か月以上運航を続けた問題で、国土交通省は17日、同社に対し、海上運送法に基づく行政処分の「輸送の安全確保命令」と「安全統括管理者・運航管理者の解任命令」を出した。同社への確保命令は同船への浸水に絡み2年連続で、解任命令は全国初。

 同社の不正は、2022年4月に北海道・知床半島沖で起きた観光船の沈没事故を受けて厳罰化された同法や、臨時検査を義務付けた船舶安全法に違反する疑いがあり、福岡海上保安部が捜査を進める。

 国交省などによると、同社は今年2月12日にクイーンビートル(定員502人)船首区画に浸水を確認したのに、5月30日まで国交省への報告を怠って運航を継続。その間、必要な臨時検査や修理をせず、航海日誌などに「異常なし」と虚偽記載し、浸水量が736リットルに増えた後には警報が鳴らないようセンサーを高さ1メートルにずらした。

 クイーンビートルは修理・検査を終えて7月11日に運航を再開したが、8月6日の国による抜き打ち検査で、浸水隠しが発覚した。一連の 隠蔽 いんぺいは、親会社JR九州から派遣された田中渉・前社長(56)の指示だったという。

 JR九州高速船は昨年2月にも、浸水発生時に臨時検査を受けないまま運航を数日続けたとして、同6月23日に安全確保命令を受け、翌月には改善報告書を国交省に提出していた。

 2年連続となった今回の安全確保命令の内容は9項目に上るが、▽経営トップによる再発防止策の策定と安全マネジメント態勢の適切な運営▽安全統括管理者による安全最優先の原則の社内への徹底▽事故などの発生時の国交省と海保への速やかな報告――など、昨年の命令との重複が目立つ。

 海上運送法は、知床半島沖での観光船「KAZU I(カズワン)」沈没事故を受けて厳罰化された。「安全確保命令違反」への罰金刑は法人で最高1億円、個人には最長1年の懲役刑などを規定し、昨年6月11日に施行された。今後の捜査で厳罰化後の同法が初適用される可能性がある。

 国交省の宮武宜史海事局長はこの日、JR九州高速船の大羽健司社長(56)を東京・霞が関の本省に呼び、「極めて悪質な違反が(昨年に続き)繰り返された」と指摘して命令書を手渡した。解任を命じられた安全統括管理者(取締役企画部長)と運航管理者(同運航部長)は、いずれもJR九州からの出向者だった。

 同席したJR九州の古宮洋二社長(61)は改めて陳謝した上で、鉄道や外食、不動産を含む全事業で安全管理体制を見直すとともに、「安全担当」の役員が不在のグループ会社にも担当役員を置く考えを報道各社に明らかにした。

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