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スター性抜群で「最もパリに近かった男」スケボー根附海龍、「逆回転」武器に狙うXゲームズ優勝

読売新聞 / 2024年9月18日 17時9分

オンラインでの取材に応じる根附海龍

 「X Games Chiba 2024」(Xゲームズ千葉大会)が千葉市の幕張メッセで9月20~22日に開かれる。男子ストリートに出場する 根附 (ねつけ) 海龍 (かいり)(21、DC Shoes)は「逆回転」を武器に、「堀米超え」を狙う。(デジタル編集部 古和康行)

マネジメントのエイベックス「ウチっぽい」

 端正な顔立ち。スタイリッシュなファッション。人懐っこい笑顔。「スター」の素質は満点だ。

 マネジメントは、エンターテインメント大手「エイベックス」だ。取材に同席したエイベックスの担当者は「一目見た時からウチっぽいなって。“世界”までファンがついていくのは堀米雄斗選手と根附くらいです」と評する。「いやいやいや……」。そんな会話を画面越しで聞きながら、根附は苦笑いを浮かべる。

 もちろん、「アイドル」ではない。根附は、パリ五輪出場を逃した日本人選手の中で、パリ切符に最も近い存在だった。男子ストリートのパリ五輪の出場条件は「日本人の中で、世界ランキング上位3人に入ること」。世界ランクの1~3位を、最終的に小野寺 吟雲 (ぎんう)、堀米雄斗(三井住友DSアセットマネジメント)、白井 空良 (そら)(ムラサキスポーツ)という日本勢が占めたため、わずかに出場権に届かなかった。

 とはいえ、当時の根附の世界ランクは5位。「世界最高のスケーター」と言われるナイジャ・ヒューストン(アメリカ)は6位で、この銅メダリストよりも上位だったことを見ても、彼の実力の高さがわかる。

キラートリックは「父親譲り」

 2019年に若手スケーターの登竜門「タンパ・アマ」で優勝。その後は、堀米や白井の陰に隠れる雌伏の時を過ごしたが、23年にはXゲームズ千葉大会で5位。この年のスケートボード・ストリート世界選手権で準優勝を果たし、トップスケーターの仲間入りを果たした。

 根附をトップ戦線に押し上げたのは代名詞「ヒールフリップ」だ。

 スケートボードのトップ選手には「シグネチャートリック」「キラートリック」と呼ばれる“必殺技”がある。ジャンプしながら板を裏表に一回転させる「フリップ」や、デッキと車輪をつなぐ金属部・トラックを当てて滑る「グラインド」など、自分の得意な基礎的な技に、ひねりを加えたり、回転を加えたり、角度を変えたりして技の難易度を上げていくのが、そうした必殺技の習得法としては、一般的だ。

 その基礎的な技「フリップ」にも2種類あり、内向きに裏表に回転させるのが「キックフリップ」。その逆回転が「ヒールフリップ」だ。中・上級者への登竜門的なトリックだが、たいていはキックフリップから練習を始める。だが、根附の場合はヒールフリップを先に覚えたため、この「逆回転」を彼のキラートリックへと進化させていった。

 静岡県出身の根附。スケートボードを始めた小学1年生の頃、「藤枝市のスケートパークだったか、河川敷だったか」で、父親とスケートボードの練習をしていた。その場で「ちょっと昔スケボーをやっていた」という父から、「唯一できる回し技」として教えてもらったのが「ヒールフリップ」だった。

 しばらくして、スケボー教室に通いだした時に、周囲の子どもたちが「キックフリップ」を練習しているのを見て初めて、根附は自分のフリップが「逆回転」であることを知る。多くのスケーターがキックフリップを覚え、それを応用させていく中、根附は逆回転で技のバリュエーションを増やしてきた。トップスケーターとなっても、根附はヒールフリップで戦っている。いつしか、それはキラートリックと呼ばれるようになった。根附自身も特別なこだわりがあり、インタビューのたびに「自分の技」「誰もやっていない」などと語る。

 当然、今はキックフリップもできるが、「みんなキックフリップからやるから、結果的にかぶらない」という理由でひたすら“逆回転”にこだわり続ける。

「今度は自分たちが」

 そんな根附の目標は「自分の板を出して、世界的なプロスケーターになること」だ。

 「(自分のトリックを披露する)ビデオは一回出したけれど、もう一個ちゃんとヤバいのを出したい」「カルチャーな大会でも優勝したい」と鼻息荒く語る根附。そのためにも、Xゲームズは取っておきたいタイトルだ。

 千葉大会は、2022年から連続出場。22年は10位だったが、23年は5位へと順位を上げた。今大会はナイジャ・ヒューストンや白井空良、ケルビン・ホフラーらトップスケーターが集まる。「けっこう濃い」(根附)相手に結果を残せれば、自らの価値を示すこともできる。

 これまで、日本のスケートボード界の顔とされているのは、実績もある堀米や白井だ。「ずっと今まであの人たちが引っ張ってくれていたので、今度は(若い)自分たちが引っ張っていかなきゃいけない」という自負が根附にはある。

 「堀米と間違えられるから」という理由で染めてきた金髪は、近く黒染めするつもりだという根附。キラートリックの「逆回転」が文字通り、日本スケボー界の勢力図をひっくり返す。その始まりが、このXゲームズかもしれない。

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