長崎「被爆体験者」に医療費助成、岸田首相「年内のできるだけ早い時期から適用」
読売新聞 / 2024年9月21日 19時35分
岸田首相は21日、国が定めた援護対象区域外で長崎原爆に遭った「被爆体験者」に対し、被爆者と同等の医療費助成を行う考えを表明した。被爆体験者の一部を被爆者と認めた9日の長崎地裁判決については、被爆者を公平に認定することが困難になるとし、控訴すべきだとの方針を示した。これを受け、長崎県と長崎市は控訴を決めた。訴訟の原告団も控訴する。
首相は21日、長崎県の大石賢吾知事と長崎市の鈴木史朗市長と首相公邸で面会し、こうした考えを伝えた。医療費助成については、大石知事らと面会後、記者団に、「訴訟の原告かどうかにかかわりなく、被爆体験者全員を対象とし、年内のできるだけ早い時期から適用する」と述べた。
被爆体験者への医療費助成は現在、被爆体験による精神疾患などに限定されており、対象者は3月末時点で約6300人に上る。新たな助成では、医療費が原則無料となる被爆者と同等の制度とする。
長崎地裁判決は、長崎市東部で放射性物質を含む「黒い雨」が降ったと認定した上で、原告44人(うち4人死亡)のうち15人(うち2人死亡)を被爆者と認めて県と市に被爆者健康手帳の交付を命じ、残る29人の訴えは退けた。
控訴理由について、面会に同席した武見厚生労働相は記者団に「司法判断の根拠に対する考え方が最高裁で確定した先行訴訟と異なるため、上級審の判断を求める必要がある」と説明した。
広島原爆では、国が被爆者援護法で定めた区域外でも、「黒い雨」に遭った人を被爆者と認定する2021年の広島高裁判決が確定し、国は22年から被爆者と認める新基準による救済を始めたが、長崎は含まれていなかった。
◆被爆体験者=長崎の爆心地から半径12キロ内で原爆に遭ったものの、被爆者援護法で国が定める区域(爆心地から南北約12キロ、東西約7キロ)の外にいた人。被爆体験に伴う精神疾患などの医療費が助成されるが、被爆者健康手帳は交付されず、被爆者と支援内容に差がある。
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