WBCで「一戦必勝」の思い強くした岡本和真、「チームが優勝できればそれでいい」とぶれなかった主将の献身
読売新聞 / 2024年9月28日 22時5分
4年ぶりのセ・リーグ制覇を決めた読売巨人軍。就任1年目の阿部慎之助監督(45)の下、若手やベテランが心を一つにした。その屋台骨は、主将で不動の4番打者、岡本和真選手(28)だ。久々に訪れた歓喜に、関係者やファンからは喜びの声が上がった。
4安打3打点の岡本選手が、栄冠をたぐり寄せた。六回に勝ち越しの二塁打、七回にはダメ押しの2点二塁打。塁上で太い両腕を突き上げると、三塁側ベンチのナインが沸き立った。
背中で引っ張るタイプに見えて、若い選手たちのことをよく気にかけた。高卒2年目の浅野翔吾選手(19)は「打てない時は励ましてくれる。自分からも声をかけやすい」と感謝する。凡退してベンチに下がった直後でも、浅野選手から相手投手の特徴を聞かれれば、悔しい気持ちを切り替え、快く助言した。一軍に昇格した若手に積極的に話しかけ、溶け込みやすい雰囲気をつくった。
野球の面白さや仲間の大切さを再確認したきっかけがある。日本代表「侍ジャパン」の一員として世界一に輝いた2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だ。
大谷翔平選手(30)(現米ドジャース)でさえセーフティーバントを試みるなど、スター選手たちが勝利に向かって駒となる覚悟を目の当たりにした。「絶対に勝たないといけない1試合に、みんながガーッと向かっていけるのは本当にいい」。「一戦必勝」の思いをさらに強くした。
しかし、主将1年目の昨季は本塁打王に輝きながら、チームはBクラスに沈んだ。「すごく悔しかった」。今季は豪快な一発だけでなく、状況に応じてコンパクトな打撃に徹するなど、勝利に直結するプレーは何かを考え続けた。チーム事情を理解し、一塁、三塁、左翼と様々なポジションも守った。
不調の時期にチームが敗れれば、SNS上には「岡本のせいだ」「4番を代えろ」などという投稿があふれた。称賛がたちまち批判に変わるプロの世界。それでも「人に何を言われても、何も思わない。僕は絶対に頑張っている」と、努力とぶれない姿勢には自負があった。「チームが優勝できれば、それでいい」。献身的な主将が歓喜の中心にいた。(運動部 井上雄太)
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