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能登大雨1週間、遠のく生活再建…道路や水道が再び被災・仮設住宅は浸水「心身ともに疲れ切った」

読売新聞 / 2024年9月28日 23時12分

 石川県の能登半島北部を襲った記録的な大雨による災害は28日、発生から1週間になった。能登半島地震で甚大な被害を受けた奥能登地方は、道路や水道が再び被災し、整備を急いだ応急仮設住宅は浸水被害に見舞われた。地震からの復旧の歩みは大雨災害で大きく後退し、被災者からは二重の災害に「なぜ能登ばかり……」との嘆きが聞かれる。(金沢支局 北村友啓、池下祐磨、珠洲通信部 成島翼)

悪い相乗効果

 「能登半島地震から8か月余りで発生した極めて異例な複合災害。(地震と水害という)悪い意味での相乗効果で被害が甚大だ」。25日の県災害対策本部員会議で、馳浩知事は険しい表情で述べた。

 今回の大雨では、地震で大きな被害を受けた奥能登の輪島市、珠洲市、能登町を中心に被害が出た。28日午後3時現在、3市町で456人が避難所に身を寄せ、土砂崩れや河川の氾濫で住宅が流されたり、土砂で埋まったりした。

 被災地を視察した馳知事は、被災者について「本当は『心が折れかけている』と言いたいところだが、正直、皆さん折れている」と気持ちを察した。

6キロ先で給水

 大雨により、県管理道路は17路線28か所で通行止めが続き、断水は3市町の計3641戸に上る。

 地震では、県管理道路が最大42路線87か所で通行止めになった。能登と金沢方面を結ぶ「のと里山海道」も一時は全面的に通れなくなったが、8月下旬には13路線31か所まで減少し、その後も復旧が進んでいた。

 断水は発生直後に約11万戸に上り、山間部などの一部地域を除く解消までに5か月を要した。地震での断水は水道管の損傷が主な原因だったが、今回の大雨では水道管が流されており、県は復旧に相当の時間がかかるとみている。

 珠洲市の男性(81)は、自宅から約6キロ離れた中学校に給水に通っている。1月の地震では5月まで断水が続いた。男性は「きついもんはきつい。一日でも早く復旧してほしい」と訴えた。

解体1割程度

 地震で倒壊した建物の公費解体にも、大雨の影響が及んでいる。公費解体に当たる建設業者が、道路啓開のために土砂や流木の撤去などを行っているためだ。

 県は「2025年10月」を公費解体の完了目標に掲げるが、8月下旬での完了は1割程度。解体の遅れは復興に影響するため、馳知事は報道陣に「とにかく一日も早く終わらせる」と従来の発言を繰り返した。

 住まいの確保も問題だ。輪島、珠洲両市では応急仮設住宅6団地の209戸が床上浸水した。地震で輪島市の自宅が全壊した男性(73)は、7月に入居した仮設住宅が腰の高さまで浸水した。「心身ともに疲れ切った」。男性は肩を落とした。

 県は緊急点検の結果、居住不可能な損壊などの被害はなかったとして、改装作業に入るための調整を両市と進めている。仮設住宅の整備は残り約500戸で、一部は大雨の影響で数日から1週間程度の遅れが出る見通しだという。

死者12人に

 輪島市門前町の 七浦 (しつら)地区の海岸付近で28日、近くに住む中村菊枝さん(75)とみられる遺体が見つかった。60歳代の女性が行方不明となっている能登町北河内地区でも1人の遺体が見つかり、それぞれ県警が身元の確認を進めている。死者は12人となった。

25日に見つかった遺体は、珠洲市真浦町の池田幸雄さん(70)と判明した。

 12人以外にも、大雨との関連が不明な1人の遺体が輪島市で見つかっている。

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