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レバノン空爆 戦線のさらなる拡大をやめよ

読売新聞 / 2024年9月30日 5時0分

 イスラエル軍が、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者を殺害した。ヒズボラは報復を宣言している。

 パレスチナ自治区ガザでの戦火が中東全域に広がらないよう、双方は自制すべきだ。

 殺害されたのは、ヒズボラを30年以上率いてきたハッサン・ナスララ師で、ベイルートで空爆を受けた。これに先立ちイスラエルは、レバノンを激しく空爆していた。死者は1000人を超えた。

 空爆についてイスラエルは、ヒズボラの軍事拠点を狙ったとしている。だが実際は、女性や子供など多くの民間人が巻き込まれている。国際人道法に違反する無差別殺傷であることは明らかだ。

 国連安全保障理事会の15理事国すべてが即時停戦を求めた。米日仏独なども、21日間の停戦を求める共同声明を発表した。

 にもかかわらず、イスラエルのネタニヤフ首相は停戦の呼びかけに応じない。それどころか、空爆に続き、地上侵攻に踏み切る構えを見せている。極めて遺憾だ。

 ヒズボラはガザのイスラム主義組織ハマスと共闘し、ロケット弾などでイスラエルを攻撃してきた。ガザの戦乱はハマスの越境攻撃が発端とはいえ、イスラエルの反撃で4万人以上が死亡し、既に自衛の範囲を超えている。

 その上さらに、ヒズボラ打倒を名目にして、主権国家であるレバノンに攻撃の矛先を向け、戦線を拡大したことは言語道断だ。

 ネタニヤフ氏は新たな戦端を開くことで、ガザ侵攻を巡る国内の批判をかわそうとしているのではないか。保身のために多くの人命と中東の安定を犠牲にしているとのそしりは免れないだろう。

 懸念されるのは、イスラエルと敵対するイランの動向だ。最高指導者ハメネイ師は、ヒズボラを支援するよう全てのイスラム教徒に呼びかけた。イランがイスラエルと直接対決する事態となれば、中東の混乱は制御不能となる。

 こうした危機の高まりにもかかわらず、イスラエルの後ろ盾である米国が十分な指導力を発揮しているとは言いがたい。

 バイデン政権は、武器供与停止を警告しながら現在も支援を続けている。バイデン大統領は退任間近で指導力を失いつつあり、また11月の大統領選では民主、共和両党ともユダヤ系団体の支援を受けるという国内事情がある。

 しかし、イスラエルの横暴を放置すれば、米国の権威は大きく傷つく。中東情勢の混迷は、次期米政権の足かせとなるだろう。

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