水俣病懇談会でマイク切り対応の伊藤環境相「後任の大臣も現地の声を丁寧に聞いてほしい」
読売新聞 / 2024年10月1日 14時21分
岸田内閣は1日、約3年間の政権運営に幕を閉じた。災害対応に追われた防災相や、「政治とカネ」の問題で急きょ起用された農相ら閣僚が最後の閣議を終え、任期を振り返った。各省庁の幹部らは退任する大臣への感謝を口にした。
能登半島での地震、豪雨への対応で陣頭指揮にあたった松村防災相はこの日午前、最後の閣議後記者会見で、「全身全霊以上の思いで取り組んできた。大事なのは被災者にいかに寄り添うかだ。2回も被災すると心が折れてしまう」と被災者を思いやった。内閣府のある官僚は「災害対応の経験が豊富な大臣だった。何度も被災地入りして住民の声に耳を傾けていた」と話した。
自民党派閥の政治資金問題に伴う閣僚交代で昨年12月に起用された坂本農相。今夏、コメが品薄となったことについて、記者会見で「国民に心配と不安をかけた」と述べたが、「政府備蓄米を放出していたら今後のコメ問題に混乱を与えていた。決断に誤りはなかった」と振り返った。
昨年9月の内閣改造で初入閣した加藤少子化相は、岸田首相が「目玉政策」と位置付けた少子化対策の指揮を執った。子どもと接する職場で働く人の性犯罪歴を確認する制度「日本版DBS」の導入に尽力した。
加藤氏は「子を持つひとりの親として、子どもの尊厳を守る大きな一歩となったと考えている」と振り返った。官僚の1人は「元幹事長(故加藤紘一氏)の娘というだけあって、野党の批判にも表情を変えずしっかり答える強さがあった」と語った。
伊藤環境相は、5月に行われた水俣病の患者・被害者団体との懇談で、団体側の発言中に環境省の職員がマイクの音を切った問題の対応に追われた。
伊藤氏は会見で、「計6日ほど現地を訪れ、色々な考えを聞いた。後任の大臣にも現地の声を丁寧に聞いてほしいと伝える」と述べた。水俣病被害者・支援者連絡会の元島市朗事務局長(69)は、「マイク切りは、日頃の環境省の姿勢が表れた問題と感じたが、大臣が前面に出て我々と向き合い、解決に向けた協議を始めてくれたことを評価している」と語った。
安全保障上の機密情報の不適切な取り扱いなど不祥事対応に追われた木原防衛相は最後の会見で「信頼回復のため先頭に立って取り組んできた。あっという間だった」と語った。
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