イランがイスラエルに報復攻撃、基地標的に弾道ミサイル…ネタニヤフ首相「代償払うことになる」
読売新聞 / 2024年10月2日 11時40分
イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」は1日夜、イスラエルを弾道ミサイルで攻撃した。イランが支援するイスラム教シーア派組織ヒズボラ指導者らの殺害に報復した。イスラエル軍は180発以上の弾道ミサイルが発射され、大半を迎撃したと発表し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「代償を払うことになる」と警告した。
イスラエルに対するイランの直接攻撃は、4月に続き半年ぶり2回目。報復の連鎖が懸念され、中東情勢は緊迫の度を増している。
革命防衛隊は、弾道ミサイルでイスラエル中心部の海軍基地やレーダー基地など軍事・安全保障の重要施設を標的にしたとの声明を発表した。イスラエルが反撃した場合、破壊的な攻撃で対抗すると警告した。
イスラエル軍の発表によると、発射された弾道ミサイル180発以上のほとんどを防空システムや米軍などが迎撃した。イラン国営放送は、極超音速ミサイルも初めて投入されたと主張している。
ミサイルの一部がイスラエル中部や南部に着弾し、地元紙タイムズ・オブ・イスラエルによると、テルアビブで2人がミサイルの破片で軽傷を負った。エルサレムなどイスラエル全域で防空警報が鳴り、各地で爆発音が響く中、多くの市民がシェルターに避難した。
イランはイスラム主義組織ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤ氏が7月に首都テヘランで殺害されたのに対し、「イスラエルの仕業」として報復を宣言していた。革命防衛隊は声明でハニヤ氏のほか、9月にイスラエルのレバノン空爆で殺害されたヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師と、革命防衛隊の軍事顧問アッバス・ニルフルシャン准将の計3人の殺害への報復だと主張した。
イランはハニヤ氏殺害の直後に報復を宣言した後も実行せず、パレスチナ自治区ガザの戦闘を巡る停戦交渉に配慮しているとみられていた。しかし、停戦交渉は進展せず、ナスララ師の殺害やイスラエルのレバノン地上侵攻が報復実行の要因となった可能性がある。
イラン外務省は1日の声明で「長い自制の末の選択だ。イスラエルと異なり、イランは軍事・安保施設のみを標的とした」と主張し、名指しを避けつつ「資金や武器の供給者」として米国の責任を強調した。
一方、ネタニヤフ氏は1日夜の治安閣議で「今夜イランは大きな過ちを犯した」と非難し、イスラエル軍報道官も「政府の指示に従って報復する」と述べた。
米国のバイデン大統領は1日、イランのミサイル攻撃を受けたイスラエルを全面的に支持する姿勢を鮮明にし、「攻撃は失敗し、効果はなかった」と記者団に明言した。近くネタニヤフ氏と電話で会談し、対応を協議する意向を示した。(テヘラン支局 吉形祐司、エルサレム 笹子美奈子)
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