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「鹿島茂の息子として文化のために何ができるか考えたい」……書評サイトALL REVIEWSからシェア型書店へ、次男の思い

読売新聞 / 2024年10月4日 15時20分

東京・神保町のシェア型書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」でサイトの説明をする由井さん

 本の魅力を紹介する「書評」をインターネット上で読んでもらうための様々な取り組みが続いている。過去に掲載された書評を通覧できるサイトが開設され、一般の人が投稿しやすいサイトも存在感を増している。

書評を「書き捨て」にしたくない

 翻訳家の鴻巣友季子さん、作家の高橋源一郎さん、書評家の豊崎由美さん……。有名な書き手の数々の書評が並ぶ。「ALL REVIEWS」は、新聞や週刊誌、月刊誌をはじめ活字媒体に発表された書評などを、筆者らの許諾を取ったうえで再録しているサイトだ。

 「父は書評をずっと書いてきました。大変な労力なのに、最近は編集者が気づかず、著者に届かないこともある。また、書いてそのまま『書き捨て』になることも多い気がしました」

 サイトを運営する由井緑郎さん(42)は、仏文学者の鹿島茂さん(74)の次男だ。この状況に一石を投じたいと2017年に開設した。現在、5000~6000本の原稿が読める。

 「いかに存続し、拡大し、関係者に利益を分配するかが課題です」と語る。紙の媒体から、光学式文字読み取り装置(OCR)で書評を読み取り、校閲作業をしてサイトに1本載せるのに2~3時間がかかる。その作業に見合う閲覧数が、なかなか得られないという。

 ALL REVIEWSもサイト経由で本が購入されると、筆者にわずかな額だがお金が還元される。閲覧数が増えれば良い広告も入る。サイトの愛好者で作る「友の会」の会員にも支えられ、運営を続ける。

 同時にこのサイトから派生して22年から、東京・神保町でシェア型書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」を始めた。書評に関連した本を置くといった考え方から広がり、様々な書き手や本に興味がある人に店内の棚を貸し、新刊や中古本を売れるようにした。各棚の個性的な品ぞろえも評判を呼び、10月に4店目を開く予定だ。

 「もう一押し工夫すれば、本は今より売れる余地があると思う。鹿島茂の息子として、文化を盛り上げるため何ができるか考えたい」

芥川賞候補も投稿 note

 一方、書評や本のことをインターネット上で書きたい人に広く利用されているのが、投稿サイト「note」だ。「同じ本の書評を読み比べられたりして楽しい」。「いなかのまどから」の名前で投稿を続ける北海道在住の男性(39)は話す。

 気鋭の書評家の三宅香帆さんをはじめ、著名人の利用も目立つ。今年7月には芥川賞候補になった坂崎かおるさんが、「芥川賞候補作家が芥川賞候補作を全部読んでみた」の題で、各作品について投稿をして注目を集めた。

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