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投資ファンド特別背任「元代表の指示で架空の契約」供述…知人の会社に数千万円支出の疑い

読売新聞 / 2024年10月3日 5時0分

 エネルギー投資を手がけるファンド運営会社を舞台にした不正支出事件で、元代表取締役の部下だった同社関係者が、東京地検特捜部に「元代表の指示で架空の契約を結び、必要のない支出を行った」と不正を認める趣旨の供述をしていることがわかった。同社では、投資に関する権限が元代表に集中していたことも判明。特捜部では、不正支出の背景に元代表による会社の「私物化」があったとみている。

 このファンド運営会社は、太陽光や水力発電などの投資を手がける「IDIインフラストラクチャーズ」(IDII、東京)。

 関係者によると、元代表は知人のエネルギー関連会社との間で業務委託契約を締結したと装い、委託料名目で数千万円を知人の会社に支出し、自身の会社に損害を与えた疑いがもたれている。特捜部は1日、元代表の関係先として知人の会社を会社法違反(特別背任)容疑で捜索した。

 IDIIが2021年、元代表を相手取り、東京地裁に起こした損害賠償請求訴訟の記録によると、元代表は18年、知人の会社に投資に関するリポート業務を委託する契約書を作り、約2000万円を支出。同時期、知人の会社からシンガポール法人に調査業務を委託する契約書が作成され、ほぼ同額が支払われた。またIDII関連会社から知人の会社に数千万円を支出し、同法人にほぼ同額が支払われたケースもあった。元代表はこうした手法で会社に損害を与えた可能性がある。

 部下だったIDII関係者は特捜部の任意の事情聴取に対し、元代表から指示を受け、知人の会社経由で同法人に資金を支出したと説明。契約や同法人に実態はなく、「契約書は外形を整えるために支出後に作成した」と述べた。また、知人の会社を経由させた理由について、他の役員や監査法人が不審に思わないように工作したとも説明。特捜部は、契約の実態がないことを示す元代表らのメールを入手したという。

 元代表は14年に就任。20年8月に不正支出疑惑が発覚し、同10月に解任された。外部の弁護士らによる調査委員会の調査報告書は、元代表が投資先の選択などIDIIや関連会社の重要な事項を実質的に全て決めていたとした上で、取締役会や投資委員会に情報開示せず、取締役会議事録や契約書が事後に作成されるなど不適切な行為があったと指摘した。

 元代表側は民事訴訟で、「IDIIと知人の会社間、知人の会社とシンガポール法人間の業務委託契約には実態があった」などと主張し、不正を否定している。

「新電力」関連で実績

 IDIIは2007年10月に設立された。民間信用調査会社によると、日本で初めてエネルギー分野に特化したコンサルティング会社として03年に設立された「インダストリアルディシジョンズ」が前身。投資先は火力やバイオマス、太陽光などの発電所で、これまでに三つの投資組合を作り、機関投資家を中心に出資を受けていた。

 08年9月に組成された「1号投資組合」への出資金は総額約40億円だったが、11年3月の東京電力福島第一原発事故後に設立された「2号投資組合」は約167億円を集めた。電力の安定供給を目的に、東京都も15億円を出資した官民連携のファンドで、全国7か所の発電所に投資した。

 16年の電力自由化後は、新たに電力小売事業に参入した「新電力」への関心が高まり、さらに多くの出資金を集めるように。同年に作られた「3号投資組合」は総額約484億円もの出資金があったという。元代表は集めた資金で発電所を新設し、新電力会社に売電するなどしていた。

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