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日銀9月短観 賃上げ機運を一段と高めたい

読売新聞 / 2024年10月3日 5時0分

 個人消費に回復の兆しが見えたとはいえ、まだ本格的に、賃上げが物価高に追いついていない状態であることが日本経済の重い課題だ。

 石破内閣は、賃上げ機運を一段と高める政策を打ち出し、経済の好循環へつなげてもらいたい。

 日本銀行が9月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数は、代表的な大企業・製造業で、前期と同じプラス13となった。

 業種別では、AI(人工知能)の普及によって需要増が見込まれる半導体関連の景況感が良好だ。「電気機械」は10ポイント上昇してプラス11、「非鉄金属」は6ポイント上向いてプラス12だった。製造業は、16業種のうち8業種で改善した。

 中国経済の減速や緊迫する中東情勢が与える影響には注意が必要だが、景気の緩やかな回復基調を改めて確認できたと言えよう。

 内需関連が中心の大企業・非製造業でも、1ポイント上昇して34と高水準が続いていることも朗報だ。

 日本経済は、個人消費の弱さが懸念されてきたが、猛暑で夏物衣料の売れ行きが好調で、「小売り」が9ポイント改善し、プラス28となった。訪日客の本格的な回復で「宿泊・飲食サービス」も上昇した。

 ただ、先行きへの警戒は怠れない。日経平均株価が今年、史上最高値を更新し、大企業の業績が過去最高水準を記録しているにもかかわらず、家計や中小企業に、その恩恵は十分に及んでいない。

 物価の影響を反映した実質賃金は、ボーナスの支給などもあり、ようやくプラスに転じたばかりで家計の節約志向は根強い。

 日本経済がデフレから完全に脱却し、賃金も投資も増える経済の好循環を実現する道のりは、いまだ半ばだ。好業績の企業は、賃上げに一層取り組むべきである。

 短観では、製造業、非製造業ともに、企業の厳しい人手不足が続いていることも浮き彫りになった。商品やサービスの提供に支障がないよう、賃上げと同時に、省力化投資の強化が大切になる。

 石破首相が、具体的な経済政策を早急に示すことも重要だ。

 財政や金融政策を巡って、不透明感が強いと金融市場に受け止められている。石破氏が、自民党総裁に就任した際は、株価が一時、2000円超も下落するなど市場の変動が大きくなっている。

 石破首相は、就任後、岸田前政権の経済政策を引き継ぐ考えを示した。企業の成長への投資と賃上げを後押しする税財政政策や、成長戦略を練ってほしい。

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