対イスラエル、イランが「未公表兵器」で抗戦準備…全面衝突回避訴えも一触即発の状態
読売新聞 / 2024年10月4日 7時1分
イランのイスラエル攻撃に対し、イスラエルが報復を警告したのを受け、イランのタスニム通信は2日、精鋭軍事組織「革命防衛隊」が未公表の兵器で抗戦準備を進めていると報じた。イランは全面衝突の回避を訴える一方で、イスラエルの反撃には断固対抗する方針を明確にしており、一触即発の状態が続いている。(テヘラン支局 吉形祐司、エルサレム 福島利之)
タスニム通信は、革命防衛隊など軍事関係の内部情報に詳しい。報道によると、革命防衛隊は新たな技術と装備を入手し、未公表の兵器を完成させた。「機微な新情報が収集され、ミサイルのシステムが更新された」と報じており、ミサイルに関連しているとみられる。
イランが支援するイスラム主義組織ハマスの最高幹部が7月末に殺害されたのに対し、イランは報復を宣言していたが、2か月間は自制していた。タスニム通信は、イスラエルへの報復攻撃まで時間を要したのは未公表の兵器完成に数週間を要したためだと伝えた。
イランは4月のイスラエル攻撃で、最新型ミサイルをほとんど使用しなかった。今回の攻撃では昨年6月に公開した極超音速ミサイルを初めて実戦投入したと報じられており、革命防衛隊は「90%が標的に命中した」と主張している。
外国の軍事関係者の間では、最新ミサイルが極超音速かどうか疑問視されているが、近年イランが無人機とミサイルの開発に重点を置いてきたのは事実だ。
イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は2日、イスラエルを攻撃した後、公の場で初めて講演した。「地域の紛争や戦争の根源は(イスラエルを支援する)米国や一部の欧州諸国の存在にある」と指摘し、対決姿勢を強調した。
軍事的な備えの一方、イランはイスラエルとの全面戦争回避を強く呼びかけている。事実上の核保有国で米国を後ろ盾とするイスラエルとの戦力差が大きいとみているためだ。マスード・ペゼシュキアン大統領は2日、訪問先のカタールで記者会見し、「イスラエルが報復を望むなら、イランはより厳しい対応を取る」とけん制しつつ「イランは戦争を求めていない」と述べた。
イスラエルは報復の規模を検討しているとみられる。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は9月30日、イラン向けに「イスラエルが中東で到達できない場所はない」との声明を出し、攻撃を控えるよう求めていた。にもかかわらず翌日に攻撃を受けたことで、イスラエルでは「イラン脅威論」が高まっている。
4月のイランへの報復は、空軍基地にミサイル3発を撃ち込む限定的な攻撃にとどまった。今回は4月と比べ広範で大規模になるとの見方が強まっている。
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