EV用電池 国内生産基盤の着実な強化を
読売新聞 / 2024年10月4日 5時0分
電気自動車(EV)の中核部品である蓄電池の供給網を自国内に築く流れが、国際的に強まっている。日本も官民が連携を深めて、国内の生産基盤を着実に強化していきたい。
経済産業省は、トヨタ自動車と日産自動車、SUBARU(スバル)、マツダの4社などが行うEV向け電池の投資計画に対し、最大で約3500億円の補助金を支給する方針を決めた。
各社は2028年までに総計約1兆円を投じる予定で、その3分の1に相当する額を支援する。
トヨタと日産は、それぞれ福岡県に、スバルは群馬県、マツダは山口県などに工場を設けるという。これにより国内の生産能力は、現状の1・5倍に増える。
蓄電池は、EVの車体価格の3分の1程度を占め、性能や価格の競争力を大きく左右する。安定的な調達が不可欠であり、政府による支援は妥当である。工場が建設されれば、地方経済の活性化にもつながるだろう。
経済安全保障の観点も重視すべきだ。中国メーカーは、自国政府の過剰な補助金に加え、電池の生産に必須のレアメタルも入手しやすく、EV向け電池で圧倒的な価格競争力を誇っている。
22年のEV向け電池生産の世界シェア(占有率)は、中国が約6割を占め、かつて首位だった日本は1割弱に低下した。
中国は、経済力で他国に圧力をかける「経済的威圧」を繰り返している。基幹部品の調達で、中国に、過度に依存することは避けなければならない。
米欧は巨額の補助金を投じ、国内での電池の生産基盤強化を加速させている。日本が現状の遅れに危機感を抱き、補助金を異例の規模としたことは理解できる。
一方、欧州では、域内企業のEV販売が伸び悩む中、安価な中国製EVが大量に流入し、苦境に陥るなど競争環境の変化は激しい。独フォルクスワーゲンは、創業以来初めて、国内工場の閉鎖を検討する状況に追い込まれている。
脱炭素社会の実現に向け、中長期的にEVは伸びていくとみられるが、航続距離など使い勝手に課題が残り、当面の需要は鈍化するとの見方もある。販売動向を見極めながら、日本の具体的な投資計画を進めていくことが大切だ。
また、日本は、短時間で大量充電できる次世代の全固体電池の研究開発が進んでいる。実用化に成功すれば、競争環境を一変させる可能性がある。産業用などでも幅広い活用が期待できよう。
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