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TDKの研究データを不正持ち出し容疑、元研究員を書類送検…転職に利用計画か

読売新聞 / 2024年10月4日 13時18分

 電子部品大手「TDK」(東京)の研究データを不正に持ち出したとして、警視庁公安部は4日、同社の元研究員の男性(65)(千葉市)を不正競争防止法違反(営業秘密領得)容疑で東京地検に書類送検した。持ち出されたのは、国内外で開発競争が進む電子部品「MEMS(メムス)」の開発データなどで、公安部は転職活動に利用しようとしたとみている。

 捜査関係者によると、元研究員は昨年6月、勤務していた同社成田工場(千葉県成田市)で、営業秘密にあたるMEMSの開発や材料などに関する研究データを、社有パソコンから私用のメールアドレスに送信し、不正に持ち出した疑い。

 事件当時、元研究員は再雇用の立場で、同工場ではスマートフォンなどの電圧を安定させる部品「積層セラミックコンデンサー」の研究を担当していた。持ち出されたデータは元研究員が所属する研究室のメンバーにメーリングリストで共有されていたという。

 元研究員は持ち出し直後の昨年6月中に退社。その後同社が流出に気付き、昨年夏に警視庁に相談した。元研究員は在職中から転職活動をしていたが、持ち出したデータの第三者への漏えいは確認されていない。

 MEMSは電子回路などを集積した小さな部品で、電化製品の小型化や高性能化に役立ち、スマートフォンやゲーム機、自動車の制御システムセンサーなど様々な製品に使われている。

 国内外のメーカーが開発競争を続けており、調査会社「矢野経済研究所」(東京)によると、MEMSの世界市場規模は2021年に約1兆3810億円だったが、25年には2兆円を超えると予測されている。

 TDKは1935年設立の電子部品メーカーで、2024年3月期の売上高は2兆1039億円に上る。

秘密流出事件の摘発相次ぐ…警察庁、企業に手口公開

 営業秘密流出事件の摘発は近年増えている。警察庁によると、全国の警察が昨年1年間に摘発した漏えい事件は26件に上り、統計を取り始めた2013年以降、最多だった22年(29件)に次いで2番目に多かった。

 特に目立つのが転職時の情報持ち出しだ。昨年9月には総合商社「兼松」の元社員の男が同業の「双日」に転職後、元同僚のIDなどを使って兼松の取引台帳などのファイルを不正に取得したとして、不正競争防止法違反容疑で逮捕された。

 昨年12月には電子部品大手「アルプスアルパイン」から、自動車大手「ホンダ」への転職直前、車載機器の設計データを私有のハードディスクに複製したとして、アルプス社元社員の男が同容疑で逮捕された。

 相次ぐ漏えいを受け、警察庁は21年、全国の警察に対し、先端技術流出への注意を促す「アウトリーチ」(外部への働きかけ)活動の強化を指示した。

 警察はこれまで、産業スパイや情報持ち出しの手口について、「捜査上の秘密」を理由に積極的な情報発信を控えていたが、担当者らは重要インフラ(社会基盤)や半導体関連などの先端技術を持つ企業や研究機関への訪問を重ねていった。

 サイバー攻撃や不審人物による接触など流出の具体例を紹介するとともに、営業秘密へのアクセス権限を絞ることなどの対策を周知してきたという。公安部幹部は「漏えいリスクの管理は企業の大きな課題だ。流出を防ぐため、今後も協力していく」としている。

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