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黒部峡谷トロッコ電車の秘境駅、今だけ降車OK…工事関係者用の「猫又駅」に仮設ホーム

読売新聞 / 2024年10月4日 16時45分

車窓から見える「ねずみ返しの岩壁」(3日、黒部市で)

 能登半島地震による落石の影響で、宇奈月―猫又ねこまた駅間(11・8キロ)での区間運転が続く黒部峡谷鉄道のトロッコ電車は5日、期間限定で猫又駅での一般客の降車を解禁する。黒部峡谷の奥地に、今だけ誕生した秘境駅に降り立つ体験を武器に、ピンチをチャンスに変える。

全国で唯一、駅名に「猫」

 黒鉄は宇奈月―欅平けやきだいら駅間(20・1キロ)のうち、地震による落石で、猫又―鐘釣駅間の鐘釣橋が損傷。現在も復旧工事が続き、少なくとも来春までは全線開通が見通せない。

 黒鉄全10駅のうち、一般客が乗降できるのはわずか4駅にとどまる。猫又を含む6駅は、黒部川沿いの発電設備を維持、管理するためにあり、降車は工事関係者だけに限られる。

 猫又駅の既存ホームは長さ65メートル。客車を最大13両(長さ93・5メートル)つなぐ営業列車に対応できない。区間運転中の現在、客は到着後に車内で座る向きを変え、わずか2分で折り返すだけになっていた。

 黒鉄は今回、一般客に降車してもらうため、設備改修を実施。急だった側線のカーブを緩やかにした上で、長さ100メートルの仮設ホームを建設し、仮設トイレや休憩用テント、ベンチも新設した。さらに、県は国の補助金を活用し、高さ3・6メートルの展望台を設置。ネコとネズミの絵をあしらった写真スポットも設けた。

 5日以降、猫又駅では約20分の停車時間を設定。宇奈月駅からの往復は約2時間とする。今季の営業は11月30日までで、来季以降は全線開通した時点で、猫又駅での降車を終了する。

圧巻「ねずみ返しの岩壁」 

 黒鉄が3日に開いた報道陣向け内見会で、一足先に猫又駅へと降り立った。

 駅周辺の見どころは豊かな自然で、到着間際、進行方向の右手に見える高さ200メートルの「ねずみ返しの岩壁」は圧巻だ。黒部川第二発電所は日本を代表する建築家・山口文象ぶんぞうが設計。自然と調和しながら使いやすい「シビックデザイン」の傑作として知られる。

 駅では黒部川のせせらぎの音が耳に心地よく、豊かな緑が体を包み込む。紅葉の見頃は、今月下旬から11月中旬とのこと。辺りが紅葉の錦になる様子が今から待ち遠しい。(吉武幸一郎)

◆猫又駅=標高358メートルにある工事関係者専用駅。全国で唯一、駅名に「猫」が付く。名の由来は、その昔、猫に追われたネズミが登れなかった岩壁が「ねずみ返しの岩壁」と名付けられ、「猫もまた登れなかった」という続きの話から「猫又」になったという説がある。

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