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所信表明演説 現実路線を重視した安保政策

読売新聞 / 2024年10月5日 5時0分

 安全保障環境の悪化や多発する災害を踏まえ、日本や国民を「守る」ことを所信表明演説の柱に据えたことは時宜にかなっている。今後、成果を上げられるかどうかが問われる。

 石破首相が衆参両院の本会議で初の所信表明演説を行った。

 まず、自民党の政治資金規正法違反事件が「国民の政治不信を招いた」ことについて「深い反省」を表明した。収支報告書への不記載があった議員と「向き合い、反省を求める」とも述べた。

 所信表明演説は、首相が自ら内閣の重点政策について説明し、どのように実行していくかを語るものだ。その冒頭で政治資金問題に言及したのは、それだけ自民党が厳しい立場に追い込まれていることを表している。

 「10月15日公示―27日投開票」の衆院選に向け、自民党執行部は、地元組織の要請や、再発防止を期す議員本人の誓約書の提出を条件に、処分を受けた議員を公認する方向で調整している。

 「政治とカネ」の問題で自民党への信頼は失墜している。党執行部は4月、旧安倍派の議員ら39人を役職停止や戒告などの処分とした。これをどう評価するかは、有権者が選挙で判断すべきだ。

 内外の政策課題は山積している。首相は重点政策の筆頭に、外交・安全保障を掲げた。日米同盟を基軸としつつ、友好国や同志国を増やすことで、平和と安定の実現を目指すと強調した。

 「防衛力の最大の基盤は自衛官だ」とも語り、自衛官の処遇改善に意欲を示した。自らをトップとする関係閣僚会議を設置して具体策を検討するという。

 昨年度の自衛官の採用数は、2万人弱の募集計画に対して1万人弱にとどまった。計画に対する充足率は過去最低の51%だった。

 防衛予算を増額して最新鋭の装備を導入したとしても、それを扱う人材がいなければ意味がない。首相の問題意識は理解できる。

 首相は、アジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設など独自の構想には触れなかった。理想論はひとまず横に置き、現実的な対処を優先させたのだろう。

 首相はまた、内閣府防災担当の機能を強化し、「防災庁」を設置する意向を改めて強調した。

 新たな庁をつくれば問題が解決する、というわけではない。近年はデジタル庁やこども家庭庁も設置され、省庁の肥大化が指摘されている。防災庁の設置を急ぐより、総合的な対策を実施できる体制を検討するのが先決ではないか。

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