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NATO軍事委員長、ウクライナが求める長射程兵器使用を支持「理にかなった方法だ」

読売新聞 / 2024年10月5日 8時4分

ロブ・バウアー氏 オランダ海軍出身で、2021年にNATO軍事委員長に就任した。軍事委員長はNATOの最高意思決定機関「北大西洋理事会」に対し、軍事顧問として戦略などの助言を行う。61歳

 【ブリュッセル=酒井圭吾】北大西洋条約機構(NATO)の制服組トップであるロブ・バウアー軍事委員長が3日、ブリュッセルのNATO本部で読売新聞の単独インタビューに応じた。ロシアの侵略を受けるウクライナが強く求めている米欧から供与された長射程兵器の使用制限の撤廃について、支持する考えを示した。中露などの権威主義国家による連携への強い危機感も明らかにした。

 ウクライナは露領内のミサイル発射拠点などを破壊するため、長射程兵器を使う必要性を訴えている。米欧は、露領土への越境攻撃は紛争がエスカレートするリスクがあるとして認めていない。米欧とウクライナで協議している。

 バウアー氏は使用制限の撤廃について、「軍事的には理にかなった方法だ」との認識を示した。「撤廃は政治問題で、決めるのは政治家だ」と述べた上で、「侵略してきた国家への攻撃は国際法、武力紛争法で認められている」と指摘した。

 米欧高官からは、長射程兵器による越境攻撃で戦況は好転しないとの見方も出ている。バウアー氏はこれに対し、「10キロ先を攻撃できれば、露軍は25~30キロ下がる。90キロ先を攻撃できれば、120キロまで押し戻せる。敵の兵たん能力は低下し、長期的にロシアを弱体化させられる」との見解を示した。

 8月にウクライナ軍が開始した露西部クルスク州への越境攻撃について、「戦略、作戦、技術的に成功を収めた」と指摘し、プーチン露大統領の威信を低下させたと評価した。ただ、ウクライナ東部の露軍を分散させるという狙いについては、「期待通りには実現していない」と述べた。

 プーチン氏は9月、露領内への攻撃拡大を受け、ウクライナに兵器を供与するNATO加盟国を強くけん制した。ロシアによる威嚇に関し、バウアー氏は「ロシアは、突然攻撃を仕掛けてくるような準備をしていない」と断言した。抑止力強化の重要性を強調し、昨年NATOに加盟したフィンランドに多国籍軍の拠点を新設する議論が行われていると明らかにした。

 ウクライナ支援をめぐっては、11月に大統領選がある米国で、共和党候補のトランプ前大統領が消極姿勢を示している。バウアー氏は、NATOや日本など約50か国のウクライナ支援が止まれば、「ウクライナは主権を失う」と強調した。NATOはウクライナ軍への訓練や武器輸送の調整を直接行う方針で合意しており、年末までの開始に向けて支援態勢の基盤固めを急ぐ考えを示した。

 バウアー氏は、ロシアや中国、イラン、北朝鮮などの権威主義国家間の連携に懸念を示した。「同盟関係になく、互いに信頼していない。だが、協力しているのは事実だ」と述べた。特に、中国が軍事利用できる製品を大量にロシアに輸出していると指摘し、「ロシアを戦争に引き留めているのは中国だ」と強く批判した。

 日本との防衛協力については、演習の相互参加やサイバー防衛分野の協力が重要だとし、「より実践的な協力案を作成中だ」と強調した。

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