大谷翔平の驚くべき「体の使い方の合理性」…力み消えたスイングで打球に飛距離、ブレが少ない効率良い走塁
読売新聞 / 2024年10月5日 5時0分
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大谷から力みが消えた。「今年の打ち方は、楽に構えて、すっとバットを出しているイメージ」――。スポーツ選手の動作解析の専門家で、大谷を長年考察してきた筑波大体育系の川村卓教授が、前人未到の「54本塁打、59盗塁」を達成した今季の大谷の打撃、走塁フォームを分析した。
打撃では、構えに変化が見られるという。グリップを高い位置に置き、以前は顎を引いて投手寄りの右肩に乗せるような形だったが、今年は顎を少し上げて投手を見る。「より自然体な形で、真っすぐ立つ感じになっている。前までは力をためて、それを解放するという感じで振っていたのが、リラックスして無駄な力を極力抜いて、というところがある」と話す。
トレーニングで鍛え上げたメジャー7年目の体の状態は「今がピークじゃないかと思うくらい」。体が仕上がっているからこそ、「割と軽く振ってもスイングスピードも出る。むしろ軽く振った方が、しっかりコンタクトができて飛距離も出るという状況にあった」と指摘する。持ち前の長打力を生むだけでなくバットコントロールしやすいフォームが、54本塁打に加えて3割1分の高打率にもつながったとみている。
前年の約3倍、59盗塁を可能にした要因の一つは、安定したフォームの走りだ。陸上の専門家とも意見交換をしたという川村教授は「確実に言えるのは、昨年と比べて、スタートの前傾姿勢がかなり低くなっている。重心が低いと、ダッシュする能力が生まれやすい」と説明。走り出してからは「体幹が固定され、そのまま真っすぐに走っているので、(体の)ブレが少ない。効率良く走れているのでスピードが落ちない」。さらに「膝の曲げ伸ばしで力を出そうとせず、
体調面の変化、充実ぶりに川村教授も目を見張る。「若い頃からずっと見ていて、体つきが今、素晴らしい。通常これくらいまで体ができてしまうと走れない。それをちゃんと体をコントロールしながら動けている能力の高さ、底知れぬ体力、体の使い方の合理性には改めて驚かされた。そういう動きをしているからこそ、ケガも少ないのだと思う」
パワーとスピードをいかんなく発揮するために自らの体を自在に操る力も、大谷ならではのものだ。
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