新規開拓狙う地銀の「越境融資」、粉飾見抜けず相次ぐ詐欺被害…金融庁が審査の厳格化求める
読売新聞 / 2024年10月6日 5時0分
企業が決算資料を粉飾し、地方銀行が融資金をだまし取られる事件が相次いでいる。人口減で地方経済が縮小しており、融資先の新規開拓を狙って県外の企業に貸し出す「越境融資」での被害が目立つ。金融庁は、融資審査を厳格に行うよう注意を促している。
売り上げ水増し
今月1日、四国銀行(本店・高知市)から融資金4000万円を詐取したとして、詐欺罪に問われた自動車販売会社(兵庫県)の元社長(37)の公判が神戸地裁で開かれた。検察側は「巧妙で悪質な手口だ」と指摘し、懲役3年6月を求刑した。元社長は今年2月の初公判で起訴事実を認めている。
検察側の冒頭陳述などによると、元社長は2020年12月、メインバンクだった別の地銀から融資金約7億円の一括返済を求められた。対応に窮し、翌月、四国銀行の尼崎支店に融資を申し込み、売り上げを2倍近くに水増しした虚偽の決算報告書を提出。同行の担当者は、決算報告書を信用して融資を決めたという。
地元は頭打ち
東京商工リサーチによると、都市部への人口流出などで地方経済が先細り、地銀では貸出先が頭打ちになっているという。そんな中、地銀が目を付けたのが地元以外への融資だ。日銀が21年に実施した調査では、地銀の「越境融資」残高は3月期で約60兆円に上り、2年間で約10兆円増加した。
こうした融資が詐欺被害に遭っている。大阪府警が今年5月に手がけた事件では和歌山県と愛媛県の地銀が被害を受けた。警視庁も3月と7月、東京都外の地銀2行から融資金を詐取したとして不動産コンサルティング会社代表らを逮捕した。
ただ、事件化されない事例もある。検察幹部は「銀行にとっては、審査の甘さを認めるようなもの。捜査に協力してもらいにくい」と話す。ある地銀関係者は、「地元外の支店では企業情報の収集が難しい一方、融資先の新規開拓に厳しいノルマがあるため、審査が甘くなる」と打ち明ける。
国の調査開始
相次ぐ企業の粉飾決算を受け、金融庁は23年10月、全国地方銀行協会に対し、融資先の経営実態の把握を徹底するよう要請した。今年7月には、審査やリスク管理の体制に関する実態調査に乗り出した。各地銀も対策として、企業に確定申告書の提出を求め、決算書との整合性を確認したり、過去の粉飾事件を共有する勉強会を開いたりしている。
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