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登山届提出者は「まだ一部」、禁止区域への侵入者も減らず

読売新聞 / 2024年10月6日 11時30分

 戦後最悪の火山災害となった御嶽山(長野・岐阜県境)噴火から10年。登山届の提出は活火山法で努力義務となり、オンラインによる提出も普及しつつあるが、「届け出はまだ一部」とも指摘される。立ち入り禁止区域に入る登山者は後を絶たず、安全意識をどう高めるか、課題は少なくない。(大原圭二、柳沼晃太朗)

 9月下旬、岐阜県下呂市の御嶽山・飛騨小坂登山口。<「登山届」は必ず提出しましょう>と呼びかける掲示板とポストが設置され、噴火警戒レベル「1(活火山であることに留意)」を示す看板も。同県美濃加茂市の大塚潤司さん(50)は「安心のためにも、事前にオンラインで届け出た。避難できる場所を把握しておくなど十分に注意したい」と話し、登っていった。

 県は噴火後の2014年12月、活火山に登る際の登山届の提出を条例で義務化した。無届けや虚偽の届け出は5万円以下の過料とする罰則もある。御嶽山の登山届の提出数は、13年の768件から、23年は3128件に増加。担当者は「条例の効果もあり、登山者の意識は高い」と話す。

 だが、条例で義務化しているのは岐阜を含め5県にとどまり、登山届の提出が全国的に定着しているとは言えない。400万人以上が利用する登山用地図アプリ「YAMAP」の運営会社ヤマップ(福岡市)は20年、アプリで登山届を提出できるサービスを開始。一部の自治体や警察とも連携し、23年は延べ約72万人が提出したが、「火山も含め利用はまだ一部」(担当者)という。

 登山届の提出率向上に取り組む山岳安全対策ネットワーク協議会の今吏靖さんは、「遭難も増える中、登山届の重要性を認識していない登山者はなお多い」と指摘。「国は登山届の統一基準を作り、自治体にももっと働きかけてほしい」と訴える。

 内閣府の担当者は「4月の法改正で自治体が把握すべき登山者情報を例示するなど、規定を強化したが、実効性をより高めていく必要がある」と話す。

「完全登頂目指す人か」

 立ち入り禁止区域への侵入も減っていない。長野・群馬県境の浅間山(2568メートル)。昨年3月、気象庁が噴火警戒レベルを「1」から「2(火口周辺規制)」に引き上げたのを受け、長野県小諸市は災害対策基本法に基づき、火口から約2キロを立ち入り禁止にした。

 しかし、ヤマップがアプリ利用者のデータを調べたところ、昨年55件、今年79件(今月3日現在)の立ち入りが確認された。9月、浅間山を登っていた男性は「日本百名山の一つなので、完全登頂を目指す人が立ち入るのでは」と話した。

 2018年に噴火した草津白根山(群馬県)でも、地元・草津町が立ち入り禁止としたエメラルドグリーンの火口湖「湯釜」周辺への侵入が相次ぎ、画像もネット上に投稿されている。

 警戒レベルは「1」だが、気象庁は9月9日、「火山活動が高まる可能性がある」と発表。18年の噴火は「1」で起きており、町総務課の萬代ばんだい洋信・防災担当は「地道に危険性を呼びかけていく」と警戒を高めている。

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