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火山災害警戒の130市町村、半数近くが避難施設の「指定ゼロ」…「観光客減る」とためらいも

読売新聞 / 2024年10月6日 11時30分

 避難促進施設の指定が必要な常時観測火山がある23都道県の130市町村のうち、「指定ゼロ」は半数近い58市町村に上る。指定施設には、避難誘導などの方法を定めた避難確保計画の作成や避難訓練の実施など、重要な役割がある。専門家は指定促進には国や県の積極的な関与が必要と指摘する。

 「(施設)指定の話し合いは現状、進んでいない」。浅間山を抱える長野県軽井沢町の職員は明かした。

 地域にとって貴重な観光資源である浅間山について、同町など長野、群馬両県の計6市町村に施設の指定義務があるが、指定施設は一つもない。県や町などの協議会では対象施設のリストアップすらできておらず、県の担当者は「地元には『警戒レベルが上がり、観光客が減った』との声もある。指定の動きが進めばさらに不安を持つかもしれない」と話す。

 岩木山と八甲田山、十和田火山の三つの火山がある青森県では、19市町村に義務づけられているが指定施設はない。ようやく弘前市が今年度中にも岩木山で1か所を指定する予定だが、それ以外の動きは鈍い。

 いずれの火山も噴火は200~1000年前。県によると、地元住民や観光関係者の危機意識は低く、観光への風評被害を恐れて施設側から協力を得られないケースもあるという。

 一方、火山活動が活発な桜島や霧島山などがある鹿児島県では、対象の6市町村全てが指定済み。学校や福祉施設、ホテルなど33か所を指定した鹿児島市は「桜島が噴火を繰り返しているのは観光客も含めて周知の事実。施設側の理解を得られやすい」とする。

 火山防災に詳しい日大危機管理学部のはだ康範教授は「噴火は前ぶれもなく起こる。どの地域でも噴火が起きた時に最前線で避難誘導を担うことを想定し、施設の指定を急ぐべきだ。国や県がサポートしなければ状況は改善しない」と話している。(長野支局 岡本拓真)

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