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日本の文化産業 国際競争力の強化を急ぎたい

読売新聞 / 2024年10月7日 5時0分

 日本の漫画やアニメは海外で高く評価されているが、文化産業としての基盤が整っているとは言い難い。国際競争力を高め、基幹産業として育てていくことが重要だ。

 漫画やアニメ、映画、ゲームなどのコンテンツ産業は、2022年の輸出額が4・7兆円で、鉄鋼(5・1兆円)や半導体(5・7兆円)に迫っている。

 海外のファンが、作品の舞台を巡る「聖地巡礼」のために来日する波及効果も生まれている。

 政府は33年までにコンテンツ産業の輸出額を20兆円に増やす目標を掲げている。ただ、韓国や中国の台頭で国際競争は激しさを増している。目標実現への筋道をどう描くかが問われよう。

 日本はこれまで、作品づくりから海外流通までをワンストップで支援する仕組みがなかった。そのため政府は9月、海外展開の司令塔として官民連携による協議会を設置した。その下部には映画支援に特化した組織も設けた。

 フランスは映画産業を支えるため、映画館入場料の約1割を特別税として徴収し、シナリオ執筆から作品の制作、配給、海外展開までを一元的に支援している。

 韓国も映画館入場料の一部や政府の支援金を基金として運用し、国家戦略として映画や音楽の世界展開を図ってきた。映画やドラマの国外収入は日本の3倍を超え、作品に登場した化粧品などの輸出にも貢献している。

 日本にも今回、官民がコンテンツ産業の発展に向けて連携する場ができたことは一歩前進だろう。自由な作品づくりを妨げないよう、「官は環境整備を図るが、口は出さない」という方針を打ち出したのも妥当な判断である。

 日本は、映画やドラマの海外への売り込みが不十分で、デジタル化も遅れているとされる。外国と比べ、何が足りないのかを分析し、対策を講じる必要がある。

 現場の制作者が十分に創造性を発揮できる環境が重要だ。フランスなどは、映画制作時の労働環境がルール化されているという。

 海外の事例も参考に、改善に取り組むことが不可欠だ。若手が業界に定着するよう、低賃金や長時間労働、パワハラやセクハラの問題解消を急がねばならない。

 優秀な人材の海外派遣を増やし、各国の法制度やコンテンツビジネスの仕組みを学んで人脈を広げたい。制作者が精魂込めてつくった作品が海賊版などの被害に遭わぬよう、国は知的財産権を守るための仕組みも整えるべきだ。

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