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磯村勇斗「ただ息をすることしかできない」…「若き見知らぬ者たち」でヤングケアラー役

読売新聞 / 2024年10月7日 10時23分

 磯村勇斗主演の「若き見知らぬ者たち」(内山拓也監督)が11日に公開される。社会で顧みられない次世代の叫びをストレートに捉えた作品だ。介護や家事を日常的に担う「ヤングケアラー」を演じる磯村は「社会の理不尽さなど、日々感じることとリンクすることが多い」と撮影を振り返った。(木村直子)

 知的障害者施設の殺傷事件が題材の「月」、特殊性癖者の孤独を描いた「正欲」など、近年、社会の問題を突く作品で難役に挑んできた。本作で演じる彩人は、若くして家族の呪縛にとらわれ、貧困と母親の介護負担にあえぐ。夢も等身大の幸せもあきらめ、生きながら死人のようだ。「親の介護以外に意識を持っていけない。ただ息をすることしかできない。そこは彩人をやるうえで優先したところ」

 SNS社会で自己表現の場は表向き増えたように見えるが、「何かしたくてもできない。声を上げられないというところは結構、今の時代にマッチしている」。救いのない生活を送る彩人の心を支えるのは弟、壮平(福山翔大)の存在だ。中盤以降、総合格闘技のタイトル戦に臨む壮平が物語の前面に出てきて、魂の救済に望みをつなぐ。「彼(壮平)の勝つ瞬間を見たいという思いが彩人の生きる希望であり、映画の希望になっている」

 青春映画「佐々木、イン、マイマイン」の内山監督の商業長編デビュー作。磯村と同じ1992年生まれで、スタッフ、助演陣も同世代が多く、全編を通じて既存の制度や社会のあり方への静かな怒りがにじむ。磯村が、彩人のようなクセのある役を好むのも、時代性を強く意識した結果だ。「映画はその時代、市民が抱えているものを象徴する。その作品が100年後まで残っていくロマンみたいなものがある」と語る。

 俳優デビューから10年。作品ジャンルや主演、助演を問わない活躍ぶりだが、当初は脚光を浴びる同世代の活躍に焦りを感じていた。「なぜ俺はそこにいないんだろうと思っていた。すごいな、なんか、むかつくな。自然と生まれるハングリー精神みたいなものは絶対なくしてはいけない」と強調する。自身の俳優としての強みを「普通なところ」と言う。「白いパレットでありたい。様々な色をのせて、作品ごとにカラーが変わっていく。普通は僕にとってはうれしいこと」

 本作は仏や香港など四つの国と地域の合作で、海外市場も視野に製作された。「日本映画の黄金時代のように、海外に打って出るパワーが日本にはある。世界で戦える日本映画、そのための役者にならないといけない」。さらなる成長と挑戦に飢えている。「まだまだ敵は大きい。また新しい旅が始まるのかなという感じがします」

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