完璧美少女と完璧美男子のだまし合いラブ……「次にくるマンガ大賞」でランク入りの注目作
読売新聞 / 2024年10月14日 15時30分
「恋せよまやかし天使ども」卯月ココさん
一般読者の投票で、次世代を担う漫画家の作品を選ぶ「次にくるマンガ大賞2024」(KADOKAWA、ブックウォーカー共催、読売新聞社協力)の結果が発表された。コミックス部門で9位に入った
「予想もしていませんでした。この作品を見つけて、投票してくださったことに感謝でいっぱいです」
幼い頃から絵が好きだった。本格的に漫画を描き始めたのは、2020年にデビューする数年前だった。少女漫画を愛読する中で、「普段泣かない人が泣くような、ギャップのあるヒーローが好みなのですが、私の『どタイプ』が、読んだ限りでは見つからなくて」と笑う。「自分で描いてしまおうと思いました」
『恋せよまやかし天使ども』は、常に完璧美少女を演じてきた高校生の桂おとぎと、同じ学園に通う完璧男子の
「アンティーク要素が含まれる世界観が好き」と語る。作品には、自身の好みをにじませた。イメージに合う実在の学校を取材し、おとぎたちの通う学園の校舎に反映させた。連載前には多くのアニメを見て様々な種類のキャラクターを描けるよう研究した。作品を描くときは想像を膨らませるため洋画を見ている。
おとぎにとって初めての恋は、最初からうまくはいかない。「キャラクターが二次元的なので、恋愛の『包み方』は現実味を出そうと思っています。恋ってつらいこともあるという部分はかなり描きたかった」と語る。「両思いって奇跡的なこと。相手の心を動かすためには、自分が変わるしかない」。ヒロインを育てたかったのだという。
おとぎや刻の長い髪の毛束の動きの描き方にも気を配る。心の揺れ動きを表現するかのように、毛先まで緩やかな曲線を描き、顔には毛束の影まで映る。
「髪の毛の動きで、その空間の時間を止められます。小説や映画にはない、漫画ならではの表現だと思う」。苦手だったという髪の毛の表現を向上させようと、自身が上手だと思う人の絵を5人並べて見て、分析した。
「細い毛束をどう組み合わせて描くかなど突き詰めたら、コミックス2巻頃に、思ったものが描けるようになってきた」と語る。「自分の苦手な部分を見つけて、理解して、好きなことにしていく作業は楽しいです」
今後の展開は「だいたいは決まっているけど、キャラクターの成長次第で、変わる可能性はあります」。読者に向けて「各キャラの恋愛を通じた成長を見ていただけたらうれしい」。柔らかく、おっとり語った。
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