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「富士登山」の規制強化、山梨・静岡でそろわぬ足並み…関係自治体「しっかり話し合い進めて」

読売新聞 / 2024年10月11日 16時57分

登山者(中央)の装備や服装を確認する県職員ら(7月20日、山梨県側の富士山5合目で)

 今夏、富士山の山梨側で初導入された登山規制。弾丸登山などの問題が大きく改善されたことを受け、山梨県は来夏、課題として残った軽装登山への対策も本格化させる。登山者に必要な装備品を持ってくることを誓約させたり、指導にあたるスタッフの指導権限を強化させたりする案が出ているという。ただ、関係者からは来夏から規制導入予定の静岡県と「歩調を合わせるべきだ」との声も聞こえる。(木村誠)

 富士山の山梨県側では今シーズン、5合目のゲートを午後4時~午前3時に閉鎖し、登山者数の上限を4000人に設定。運営費などとして1人2000円の通行料も徴収した。以前から問題だった夜通し登る弾丸登山や登山道の混雑が大幅に改善されたが、訪日外国人らによる「軽装登山」が課題として注目を集めるようになった。

 短パンやスニーカー姿の登山者に対し、ゲート前で県職員らがしっかりした装備・服装でなければ危険と説得しても、そのまま押し切られるケースも多かった。

2段階の対策

 こうした事態を防ぐため、県が想定しているのは登山者に安全装備を誓約させる対策だ。

 県は今夏から、通行料を事前決済して登山を予約できる「富士山吉田ルート通行予約システム」を導入しており、このシステムを改修して、登山者が予約する際に、服装や携行品などの必要な装備の持参を誓約させるという。

 また、登山者の安全や環境を守る県の「富士山レンジャー」らの指導権限の強化も合わせて検討する。

 レンジャーは県職員として、富士北麓地域で自然保護のためのパトロールに加え、開山期間中は登山道で巡回指導してもいる。ただ、これまでは規則上の規定では「登山の安全に関する啓発」にとどまっていた。

 このため、県の規則を改めるなどして指導活動を明文化した上で、5合目などで軽装登山者への注意を行う。担当者は「予約システムで登山者に自覚をさせた上で、5合目でしっかりとした権限を持った職員が指導にあたるという2段階で対策に取り組む」と話す。

 県では11日に、関係団体を集め、今夏の規制の振り返りや課題を共有する意見交換会を予定しており、この中でこうした規制のあり方について意見を求めていく。すでに検討を表明しているゲート閉鎖時間の前倒しや通行料の値上げなどについても、協議していく。

 県の岩間勝宏・富士山保全・観光エコシステム推進監は「関係者の声を参考にしながら、来夏のより良い規制を目指す」と話した。

「まずは関係構築」

 一方、山梨側の規制強化に対し、麓の自治体からは疑問視する声も聞こえる。

 富士吉田市の堀内茂市長は3日の定例記者会見で、こうした規制強化について問われ「富士山は山梨県と静岡県の両県で、一つの山を管理している。まず考えるべきは静岡県との連携。その関係をしっかり構築していくことが大切」と強調。「山梨県側ばかりが先走ると両者の協力体制にひびが入る。まずはしっかりとした連携、話し合いを進めていただきたい」と注文をつけた。

 実際に来夏からの規制導入を検討している静岡県だが、ルートが3本あったり、地形が複雑だったりするなど、規制へのハードルが高いのが現状だ。

 山梨側の規制策が進む現状について静岡県の富士山世界遺産課は、「静岡側は地元の意見を聞いている段階。(両県で)規制に差がつくのは登山者にとって分かりにくく、事務方レベルでのこまめな情報共有を進めてすりあわせていきたい」としている。

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