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レナウンに社名変更「会社の知名度上がり、事業のブランディングにつながる」…オッジ・インターナショナル 辰己貴義社長

読売新聞 / 2024年10月9日 9時35分

インタビューに答えるオッジ・インターナショナルの辰己社長(大阪市中央区で)

 大阪市に本社を置くアパレル企業「オッジ・インターナショナル」は、2020年に経営破綻した名門、レナウンに社名を変更する。すでにダーバンとアクアスキュータムの二つのブランドを含む中核事業を引き継いでいる。狙いや戦略について、辰己貴義社長に話を聞いた。(聞き手・北野浩暉)

「レナウン」名前にバリュー

 ――社名を変更する理由を。

 「20年にダーバンとアクアスキュータムの二つの事業について、営業譲渡された時に、レナウンの商標も一緒に買った。現在の社員の6~7割は旧レナウンの出身者が占めている。

 当初から、社名変更を意識していた。レナウンという名前にバリューがあり、使いたいと思っていた。当時はコロナ禍で世の中は不安定な時期だった。二つの事業を買い、売り上げが一気に3倍になった。増えたのはいいが、やってみないとわからないというところでスタートした。

 すぐに社名を変更しようという話もあったが、時期尚早だろうと。実績を作ってからにしようという中で、親会社(持ち株会社の小泉)とスタートした。レナウンは倒産したので、債権者がいる。債務者との利害関係に巻き込まれたくもなかった。丸4年がたって、コロナも収束して、事業が堅調に推移した。次のステップに行こうという時期になり、ブランディングしようと思った。

 レナウンという名前に変えることで、会社の知名度が上がる。消費者のみなさんにも思い出がある。メーカーさんを始め、販路に対してもレナウンを名乗る方が信頼が得られる。このタイミングでやらないと、10年たてば忘れられてしまう。会社をブランド化することが、事業のブランディングにもつながる。当社もいいモノを作っているという自負はあるが、明確に消費者に伝えるには、社名もブランディングした方がメッセージになる。消費者に対するアプローチが大きな点だと考えた」

 ――周囲の反応は。

 「応援メッセージや『復活してうれしい』といったポジティブな内容が多かった。『なんでもかんでも会社が東京に行ってしまう中で、大阪の会社が買ってくれてうれしい』とか、アパレルもかつては、ほとんどが大阪だった。当社は大阪で頑張ってきた。働いている人たちも喜んでくれ、いい選択ができた。非常にうれしい」

期待を裏切らない商品

 ――二つの事業を始めて手応えは。

 「コロナ禍に在宅勤務が広がり、スーツの必要性が問われた。事業を買う時には不安もあった。だが、ダーバンは日本で一番知名度があるスーツのブランドだ。若い人には知られていないかもしれないが、50歳代、60歳代には圧倒的な知名度がある。ダーバンしか買わないというファンもいる。当社でも期待を裏切らない商品を作っていきたい。

 自分で素材を選んで形を決める『パーソナルオーダー』でスーツを買う人が半数以上いる。スタイルにも違いがある。注文を聞いて仕上げて着るというのは最近、シェアが上がってきた。ダーバンの満足度が高い方は、ほかのブランドは買わない。そういった顧客に圧倒的に支えられている。一般的に、スーツは春や秋に買う人が多いが、ダーバンのスーツは夏も冬も売れている」

 ――レナウンはなぜ苦戦したのか。

 「ピークと倒産時を比べると、事業のバランスが悪くなった。ダーバンもアクアスキュータムも黒字だったが、赤字事業は経費が大きい。アパレルは人件費の割合が高く、テナントに入っていれば家賃もある。本社の管理費もある。だから、売り上げが落ちると利益も耐えられなくなる。これがアパレルの倒産するだいたいのパターンだ。レナウンも、売り上げと利益と経費のバランスがよくなかった」

 ――今後の戦略は。

 「ブランド力を強化していく。従来はスーツのダーバンだったが、ブランドを確立させることで、そのアイテムとしてのスーツを売っていきたい。来年でダーバンができて55年。40歳前後にもアプローチするようなPRをしていく。カジュアル商品を増やし、同じ世代の俳優を起用したCMも作る。日本製が多いので、ジャパンを打ち出したい。中国製も縫製技術が高く、悪いわけではない。でも、せっかく日本製でやっているので。

 一般的にアパレルの主な販路は百貨店とファッションビル(駅ビル)、GMS(総合スーパー)の三つあるが、百貨店が一番、所得層の高い人が多い。力を入れたい。ファッションビルに振れば、20歳代をすぐに取りに行かなければならなくなる。そこは、今すぐに攻めるところではない。

 うちのお客様は、買い物が楽しいという人が多い。他社と比較するのではなく、生地を触ったり、試着したりする人も多い。ネットで買う人は、ほかと比べて安いところから買うはずだ。eコマースは今後強化したいとは思うが、あまり考えていない。

 トレンチコートが強いアクアスキュータムも同様だ。クリミア戦争の時に、英国人将校が着ていた。若いお客様に見てもらえるように、カジュアル化を進めており、新富裕層と呼ばれる30~40歳代の購入が増えている。品質あってこそで、素材や縫製でいいものを買っているという満足度をお客様に与えられるから売れる。最近はゴルフウェアも始めた。ブランドを幅広い層に浸透させていきたい」

◆辰己貴義氏(たつみ・たかよし) 1982年立命館大経済卒。アパレル大手のワールドやライカなどを経て、2011年オッジ・インターナショナル入社、常務取締役営業本部長を経て、19年5月から社長。趣味は妻と行くゴルフや温泉巡り。奈良県出身。

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