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認知症の新薬 早期発見が治療のカギを握る

読売新聞 / 2024年10月9日 5時0分

 認知症の根本的な治療方法はまだないが、新薬が相次いで登場したことで、患者にとっては治療の選択肢が広がった。

 ただ、新薬による治療には早い段階での診断が肝心だ。予防の観点からも、早期発見の重要性が増している。

 米製薬大手が開発したアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」の製造販売が承認された。

 アルツハイマー病の原因とみられる脳内の物質を取り除き、症状の進行を抑える働きがあるという。同種の薬としては昨年、「レカネマブ」が実用化している。

 いずれの薬も、症状の進行を数か月程度遅らせる効果があるとされる。原因物質に作用する薬の登場は、患者や家族に期待をもって受け止められたことだろう。

 とはいえ誰もが使えるわけではない。対象になるのは、アルツハイマー病の軽症者と、発症手前の軽度認知障害の人に限られる。

 脳のむくみや出血といった副作用のリスクもある。医師は、薬の特徴を本人や家族に丁寧に説明しなければならない。

 患者が新薬の治療を希望しても、認知症が進行していて投与できない例は少なくない。東京都健康長寿医療センターでは、レカネマブの治療を希望した人のうち、3人に1人は軽症の段階を過ぎていたため薬が使えなかった。

 軽度認知障害は、物忘れや計算ミスなどが目立つものの生活に大きな支障はない。このため、本人や家族が症状を実感する頃には進行していることが多い。

 2025年には、軽度認知障害の人は564万人に上ると推計されている。早めの受診を促す取り組みが治療のカギになる。

 市町村が独自の取り組みとして、記憶力や判断力のテストを行い、軽度認知障害の可能性をチェックしているケースもある。疑いのある結果が出た場合には、医療機関の受診を勧めている。

 ただ、確立されたチェック方法があるわけではない。政府は、早期発見に役立てるため、信頼できる簡便な検査方法の研究を後押しする必要がある。

 早く異変を見つけることは、新薬の使用の可否にかかわらず大切だ。初期段階なら、生活習慣の改善で進行を遅らせることができるという。軽度認知障害と判定されても、健常な状態に戻ったケースも報告されている。

 認知症に確実な予防法はないが、高血圧や難聴、運動不足、孤立などがリスクとなる。こうした要因を減らすことが大切だ。

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