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衆院解散 与野党の力量が問われている

読売新聞 / 2024年10月10日 5時0分

◆国難を乗り越える処方箋を示せ◆

 石破首相が衆院を解散した。政府は衆院選の日程を「15日公示―27日投開票」に決定した。

 発足したばかりの石破内閣に期待して引き続き政権運営を託すか、それとも野党を躍進させて政局の流動化を促すか。3年ぶりの政権選択の機会が事実上、スタートした。

 今回の特徴の一つは、自民、公明、立憲民主の主要3党の党首がそろって交代した直後の選挙となることだ。共産党も1月に党首が交代した。いずれの党にとっても力量が問われることになる。

◆異例ずくめの短期決戦

 各党は、目指す国家像や国難を乗り越える処方箋を示さなければならない。有権者に十分な判断材料を提示することが不可欠だ。

 衆院解散を巡る経緯は異例ずくめだった。首相は、正式に就任する前日に選挙日程を公表した。首相就任から8日後の解散、26日後の投開票は、いずれも現行憲法下で最短の日程となる。

 自民党に、内閣の発足直後で国民の期待値が高いうちに信を問うのが得策だ、といった判断が働いたのは間違いない。

 だが、選挙戦がその思惑通りに展開するかどうか。党内には、政治資金収支報告書への記載を怠った議員たちの公認の是非を巡って混乱が生じており、不協和音が高まっている。

 首相ら党執行部は当初、不記載があって党の処分を受けた議員について、原則として公認する方向で調整していたが、世論の批判が強いとみると方針を転換した。

 結局、旧安倍派などの議員と支部長計12人は非公認となった。また、処分の有無にかかわらず、34人の議員らは比例選との重複立候補を認めないこととした。

 その過程で非公認を2人から6人、6人から12人へと増やしていく執行部の手法に対し、旧安倍派の議員は「あまりにも場当たり的だ」と反発している。選挙後の党運営に影響を与えることは避けられそうもない。

◆自民の不協和音高まる

 政治とカネの問題にどうけじめをつけるかという、しっかりした方針なしに、その都度の対応で切り抜けようとする自民党の定見のなさが迷走を招いている。

 また、混乱の背景には、今の自民党に第2次安倍内閣以降の高い支持率を「追い風」として当選してきた中堅・若手が多いこともあげられる。こうした「風頼み」の議員は、選挙基盤が脆弱ぜいじゃくだ。

 一方、野党の現状にも似たような傾向が見られる。自らの党の魅力を高める努力を二の次にし、自民党を責め立てるだけの批判票頼みで勢力拡大を狙っている。

 3か月ぶりに行われた党首討論で、立憲民主党の野田代表は40分の持ち時間のほとんどを政治とカネの問題の追及に費やした。

 自民党の調査は不十分だとして、首相に再調査を繰り返し要求し、「政権交代こそ最大の政治改革だ」と述べて討論を終えた。

 政治とカネの問題はもちろん大事だが、「真相解明が不十分」と批判するだけでは出口が見えてこない。東京地検特捜部が強制捜査を尽くしても、決着はつかなかった。根拠となる新たな証拠がなければ追及にも限度があろう。

 このほか、日本維新の会の馬場代表、共産党の田村委員長、国民民主党の玉木代表も、そろって自民党の政治資金規正法違反事件に焦点を当てた。

 既成政党に対する不信感は、なお解消されていない。政治改革は衆院選の大きな争点の一つだ。

 ただ、日本が直面している課題はそれにとどまらないはずだ。

 野党は、自民党ではすくい取れない民意をくみ取ることができているのか。バラマキではなく、財源の裏付けのある政策を打ち出せなければ、政権を担える政党とは到底見なされないだろう。

◆政策論争を深めたい

 内外の課題は山積している。

 岸田前内閣は、新たな少子化対策の実施を決めたが、児童手当の拡充など給付中心の内容となっており、効果が不十分ではないか、との指摘は多い。また、その財源の確保策も固まっていない。

 少子化や人口減少に歯止めがかからなければ、国力は低下してしまう。社会保障制度を持続可能な仕組みとしていくことも急務だ。与野党は選挙戦で有効な対策を論じ合う必要がある。

 国際情勢は激変しており、日本の外交力が試されている。

 悪化した安全保障環境への対応も待ったなしの課題である。防衛力の向上や日米同盟の強化、同志国との連携のあり方などについて、議論を深めたい。

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