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ポリエステルなどの合成繊維も取り入れられている美智子さまの装い、被災地で感じられた温かみと優しさ

読売新聞 / 2024年10月12日 9時0分

宮城県南三陸町にヘリで到着された天皇、皇后両陛下。美智子さまは合成繊維のジャケットとスラックス姿(2011年4月27日)=高橋美帆撮影

[美智子さまの装い]<4>

 上皇后美智子さまの装いにはポリエステルなどの合成繊維も取り入れられていると知ったら、驚く人もいるかもしれない。合繊は軽くてシワになりにくい。日本の伝統的な素材や機能性に優れた合繊などから、その場面ごとにふさわしい布を選び出されているという。

 2011年4月27日。天皇、皇后両陛下は、東日本大震災の発生後初めて東北入りされた。最初にヘリが着陸したのは、津波で壊滅的な被害を受けた宮城県南三陸町の小学校校庭。美智子さまの薄いグレーのジャケットと濃いグレーのスラックスは、いずれも合繊の素材だった。

デザイナーが重視したのは…温かみと「柔軟性」

 震災の発生以来、両陛下は被災地のニュースを見続け、「人々の心の支えになりたい。困難を分かち合いたい」という思いを強くされてきたという。早期の現地入りを望まれていたが、被災地の状況を考慮して、東北へのご訪問はこの日からとなった。ただ、周囲がそのための準備を進めていたのはもちろんだ。

 デザイナーの滝沢直己さん(64)は、表面が起毛して温かみのある合繊の素材を選んだ。柔軟性も重視した。被災地を訪問された時にはきっと、人々の前にかがみ込まれ、がれきの残るような場所にも歩みを進められるのだろう。そこまで発想を広げて滝沢さんは服のデザインを始めた。

 腕の動きを邪魔しないよう、ジャケットの袖は絞る。ハイネックのインナーで首回りを保護した。ボトムは、ゆったりとしているが足さばきのよい太さのスラックスにした。

 その服を着用して訪問された南三陸町の避難所。行方不明の孫の写真を天皇陛下に見せ、励まされたという千葉みよ子さん(78)は今、美智子さまの姿を思い出し「まだ寒い時期だったので、服に温かみと優しさを感じました」と語った。

 滝沢さんは世界的な日本ブランド「イッセイミヤケ」の出身。美智子さまの専属デザイナーを長く務めた植田いつ子さん(1928~2014年)の推薦を受け、後任となった。その後も「ユニクロ」「無印良品」などとの協業にも積極的に取り組む。活動は世界最先端のモードからカジュアルウェアまで幅広い。

 それはまるで、イブニングドレスから合繊の動きやすい服まで網羅する美智子さまの装いのようだが、「基本的には質素を好まれ無駄を嫌い、服は何度も修理しながら着続けるという基本姿勢をお持ちです」と滝沢さん。

 「天然繊維でも合成繊維でも、日本の素材には興味をもたれてよくご存じで、取り入れてみようとされる。その進取のお考えには多くのことを教えていただいています」

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