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日本郵便の顧客155万人超の情報流用、郵政民営化前の慣例継続か…同意得ず勧誘目的でリスト作成は保険業法違反

読売新聞 / 2024年10月12日 7時25分

記者会見する日本郵便の千田社長(11日、東京都千代田区で)

 日本郵政グループの日本郵便は11日、ゆうちょ銀行の顧客情報を無断でかんぽ生命保険の営業に使っていた問題で、全国の郵便局が2014年2月以降、少なくとも155万人分のゆうちょ銀の顧客情報を流用し、保険営業用のリストを作成していたと発表した。顧客情報を検索するシステムの改修などの再発防止策を急ぐとともに、グループ内で関係役員らの処分を検討する。

 日本郵便の千田哲也社長が東京都内で記者会見し、社内調査の結果と再発防止策を発表した。確認できる14年2月以降のデータを精査したところ、事前に同意を得ずにリスト化したと推計できる顧客数が、少なくとも155万人に上ると判明した。

 保険業法は、保険の勧誘に顧客の金融情報を使う場合、事前に同意を得るよう定めている。同意を得ずに、勧誘目的でリストを作成すると保険業法違反になる。

 だが、ゆうちょ銀とかんぽ生命の業務を受託している日本郵便では、ゆうちょ銀の顧客情報を検索できる営業用端末を使い、同意を得ずに顧客リストを作成していた。千田氏は、こうした顧客情報の利用が、07年10月の郵政民営化に伴う分社化でゆうちょ銀などが誕生する前から慣例になっており、同意が必要となった分社化後も続いていたとの見方を示した。

 郵便局ではリストを基に景品が当たるイベントなどの案内を出し、来局した人にかんぽの商品の勧誘を行っていた。勧誘前に顧客の同意を得れば、法的に問題ないと考えていたという。

 千田氏は法令違反が長年続いた原因について、「経営陣が対応をとれていなかった」と陳謝し、現場への指示が不十分だったと説明した。すでに金融庁や総務省に報告を済ませた。

 再発防止策として、25年2月までに顧客の金融情報を扱うシステムを改修し、郵便局内にある保険営業用の端末などから閲覧できないようにする。グループ内で、顧客の同意を得た情報に限って活用するシステムの整備を目指す。金融サービスの勧誘のために、電話や郵便物で来局を促す営業活動は当面の間、自粛する。

 日本郵政グループでは、19年にかんぽ生命と日本郵便が顧客と不適切な保険契約を結んでいた問題が発覚。その後、かんぽ生命が営業活動を一時自粛し、保険商品の販売は低迷している。

 一方、日本郵便の郵便事業は需要減の影響で足元では赤字となっており、金融2社から受託した業務の手数料は収益源としての重みが増している。千田氏は「できる限り早く(郵便局への)来客誘致ができる体制をつくり、業績への影響を最小限にしていく」と話した。

金融業界で続発

 金融業界では、顧客情報の漏えいや無断流用などの不正が相次いでいる。

 保険業界では、代理店に出向中の社員が、他の保険会社の契約者情報を自社に持ち出すなどしていた。情報漏えいは、東京海上日動火災保険や損害保険ジャパンなど損保大手4社と、日本生命保険や第一生命ホールディングスなど生保各社で確認されている。

 多くの社は「代理店での市場占有率を確認するためだった」などと説明している。一部の損保では情報を営業に使ったケースもあった。損保関係者は「長年行われてきた慣行で、個人情報の管理に関する認識が甘かった」と話している。

 金融庁は7月、損保大手4社に報告徴求命令を出し、生保各社への調査も進めている。いずれも行政処分につながる可能性がある。

 金融庁は6月には、顧客企業の非公開情報を無断で共有したなどとして、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行と証券2社に対し、金融商品取引法に基づく業務改善命令を出すなどしている。

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