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ハマス幹部「全責任はイスラエルにある」「ネタニヤフ氏は停戦合意望んでいない」…読売新聞インタビュー

読売新聞 / 2024年10月12日 5時0分

カタールの首都ドーハで取材に応じるハマスのホサム・バドラン政治局員(9月17日)=福島利之撮影

 イスラム主義組織ハマス政治局のホサム・バドラン氏(58)と最高幹部のメディア顧問タヘル・ヌヌ氏(49)の幹部2人がカタールの首都ドーハで個別に読売新聞のインタビューに応じた。パレスチナ自治区ガザの停戦交渉で焦点となっていたエジプトとの境界について、バドラン氏は「ガザから外の世界に向かう唯一の境界だ」として軍の駐留を認めない考えを示した。(ドーハ 福島利之)

 バドラン氏が所属する政治局はハマスの最高意思決定機関で、ヌヌ氏はイランで7月末に殺害された最高幹部イスマイル・ハニヤ氏の側近だった。2人は9月中旬、拠点としているドーハで取材に応じた。

 バドラン氏は停戦の条件について、〈1〉イスラエル軍の攻撃停止〈2〉ガザからの軍の完全撤退〈3〉ガザへの人道支援と再建――の3点を挙げ、「公正な要求のはずだ」と述べた。

 イスラエルがガザを封鎖する中で、エジプトとガザの境界「フィラデルフィ回廊」の重要性について、バドラン氏は「治安面よりパレスチナの将来に関わる問題だ」と述べた。ヌヌ氏は「回廊はガザの一部だ。全ての土地は我々にとって重要だ」と強調した。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「ハマスの武器流入ルートになっている」として回廊への軍の駐留にこだわるのに対し、バドラン氏は「ネタニヤフ氏は停戦合意を望んでいない」と非難した。中断している停戦交渉が再開しても、双方の主張は当面、平行線をたどりそうだ。

 イスラエルは戦闘の目標に「ハマスの壊滅」と「全人質の解放」を掲げる。バドラン氏は「イスラエル軍は核兵器以外のあらゆる兵器を使ったが、目的を達成できていない」、ヌヌ氏は「イスラエルが攻撃をやめればハマスも攻撃をやめる」と述べた。

 イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの紛争激化について、ヌヌ氏は「イスラエルへの圧力はガザでの攻撃を減らす」と指摘し、ハマスに有利になるとの見方を示した。

 ハマスの奇襲が招いたイスラエル軍のガザ攻撃で、4万2000人以上の住民が殺害され、街が破壊された。この責任を問うと、バドラン氏は「我々は(パレスチナ解放という)『パレスチナの大義』のために行動を起こした。ガザの死傷者や建物の被害は甚大だが、全ての責任はイスラエルにある」と主張した。

 ハマスは人質として251人をガザに連れ去り、死者を含め101人が戻らぬままだ。バドラン氏は「人質は、停戦や(イスラエルの)刑務所収監者との交換交渉で大きな力となる」と述べた。戦闘後を巡っては、ヌヌ氏は「ガザを支配するために我々は戦っているわけではない」と強調し、ガザの統治にハマスはこだわらない考えを示した。

「やり過ぎだ」奇襲に批判の声

 ハマスの奇襲が国際社会に「パレスチナの大義」を思い起こさせたのは確かだろう。しかし、惨殺と人質の拉致を伴った奇襲は、パレスチナとの和平を望むイスラエル左派にハマスへの拒否感を植え付け、パレスチナ人の間でも「やり過ぎだ」と批判の声が上がる。

 奇襲はガザの住民4万2000人以上が殺害される端緒となり、ハマスの責任は免れない。「パレスチナの大義のために行動した」(バドラン氏)という説明では、身内を失ったガザの住民は納得しないはずだ。(福島利之)

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