中国、大手国有銀行に公的資金…アジア通貨危機の１９９８年以来・規模は言及せず

中国の国旗

　【北京＝山下福太郎】中国の藍仏安財務相は１２日、北京市内で記者会見し、新たな経済対策を発表した。金融システムの安定化に向け、特別国債を発行して大手国有銀行に公的資金を注入する。市場の注目が集まった財政出動の規模には具体的に言及しなかった。

　大手国有銀行への公的資金注入はアジア通貨危機時の１９９８年以来。各行は不動産向け融資の焦げ付きや利下げに伴う利ざやの縮小で経営悪化が見込まれる。「リスクへの耐性と融資拡大の能力を強化し、実体経済の発展に貢献させる」（藍氏）狙いがある。

　米ブルームバーグ通信によると、市場では２兆元（約４２兆円）規模の景気刺激策が打ち出されるとの観測が出ていた。藍氏は会見で規模を繰り返し問われたが、「（国債発行を）大幅に拡大する」と述べるにとどめた。

　大和総研の斎藤尚登経済調査部長は「会見自体はこれまでと大きく変わる内容はなく、期待を高めていた株式市場が週明けにどう反応するかが懸念される」と指摘した。