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消防隊員1265人のうち女性はたった28人…女性用仮眠室やシャワー、環境整え採用拡大図る

読売新聞 / 2024年10月14日 18時23分

特別救助隊で活躍する伊藤さん(富士吉田市で)

 山梨県内の消防本部が女性消防隊員を増やそうと、採用活動に力を入れている。火災の消火活動や災害救助など過酷な業務から「男性の仕事」というイメージが強いが、女性隊員だからこそ活躍が期待できる場面も多い。ただ、県内10消防本部の女性隊員の割合は、わずか2%にとどまっており、各本部が職場の環境整備などを急いでいる。(加藤慧)

 「後方よし! 上空よし!」

 9月11日、富士五湖消防本部(富士吉田市)で、同本部の特別救助隊の伊藤りら消防士長(27)がチェーンソーの点検や、高所の要救助者を助け出す訓練に励んでいた。

 力強く始動索を引いてチェーンの張り具合や油の回り具合を確認し、他の4人の男性隊員らに大きな声で手順を伝えては、軽やかにはしごを駆け上っていた。

 「最前線で人の命を救う仕事に就きたいと思った」と消防の仕事を選んだといい、2019年に同本部に採用された。今は168人の男性隊員に交じり、計3人の女性消防士の1人として働く。

 隊員になって2年目、温泉で転倒した女児の救助にあたり、母親から「女性の隊員さんが話してくれて、子どもも落ち着いた」と感謝されたといい、「消防士になってよかったと強く実感しました」と振り返る。

女性宅損害調査、安心

 各消防本部や県防災局消防保安課によると、女性隊員はこうした業務に加え、市民への避難指導や講習なども活躍の場として想定される。消火器や消火栓を扱う姿を見せることで、いざという時の消火活動に女性が積極的になることなどが期待できるという。

 また、女性が所有者の住宅が火災となった場合、その後の損害調査でタンスの中などを確認する際、女性隊員が調査することで、心理的負担を軽くできることも考えられる。

 ただ、消防庁は15年、女性隊員の割合を26年までに5%まで引き上げることを目標としたが、23年4月時点での女性隊員の割合は全国平均で3・51%にとどまっている。

 県内でも同時点で全消防隊員1265人のうち、女性隊員は28人(2・21%)で、各消防本部は採用増に向けた動きを本格化させている。

仮眠室やトイレ整備

 峡北消防本部では、8月下旬に須玉分署の新庁舎が完成。仮眠室やトイレが入った女性専用のスペースを整備した。同本部管内6拠点のうち、女性隊員を配置できる場所は4か所に増えた。女性隊員のいない峡南消防本部でも、26年に女性用の仮眠室やシャワーがある新庁舎が完成する予定。

 大月市消防本部では、女性隊員が生理休暇を取りやすいよう、職場内で積極的な声がけをするよう心掛けているという。

 同本部の佐藤ほなみ消防士(21)は「体調面で男性と同様に活躍できるか不安もあったが、先輩の女性隊員に生理休暇も抵抗なく取れる職場と聞き、不安が解消された」と打ち明ける。

 峡北消防本部で広報を担当する藤森茂樹消防司令は「男女双方の隊員がいることが大事な職場。妊娠中や育児中には予防啓発や事務業務に就ける体制も整えている。『人のために尽くしたい』との思いが少しでもあれば、職場体験や見学に来てほしい」としている。

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