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ASEAN会合 信頼を基盤に協力の深化図れ

読売新聞 / 2024年10月13日 5時0分

 東南アジア各国との会合で、石破首相が安全保障の持論に固執せず、従来の協力関係を重視する考えを表明したことはひとまず、各国を安心させたのではないか。

 首相就任後、初の外国訪問を無難にこなしたと言えるだろう。

 首相が、ラオスで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席した。

 日ASEAN首脳会議では、巡視船の供与などを通じた海洋安保協力を強化する方針を伝えた。

 南シナ海では最近、中国海警局の船がフィリピン船への衝突を繰り返し、緊張が高まっている。

 南シナ海は、日本にとって重要な海上交通路だ。自由な海洋秩序を維持するため、政府が、フィリピンなど沿岸国の海上保安能力の向上を支援する意義は大きい。

 東南アジア諸国の経済は急速に成長している。日本は、長年の協力で培った信頼関係に基づく「対等なパートナー」として、地域の発展を後押しするとともに、成長市場を取り込み、互恵的な関係を深めていくことが重要だ。

 一連の会合で首相は、持論のアジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設構想には言及しなかった。中国と経済的な結びつきが強い東南アジア諸国に、中国の抑止を目的とした構想を提案しても、賛同は得られなかっただろう。

 首相は滞在中、中国の李強首相と会談し、日中双方の利益を追求する「戦略的互恵関係」を進めていくことを確認した。

 そのうえで、中国軍機による領空侵犯など軍事活動の活発化に対し、「深刻な懸念」を伝えた。蘇州や深圳で日本人児童らが殺傷された事件の真相解明や再発防止を求め、中国当局に拘束されている邦人の早期釈放も要求した。

 これに対し李氏は、石破首相が所信表明演説で中国との交流を促進する考えを示したことに触れ、「中国は高く評価している」と持ち上げた。だが、懸案に関する前向きな発言はなかったという。

 日中関係の改善は、領空侵犯問題や児童らの殺傷事件について、中国が明確に説明することが前提だ。中国の不誠実な対応が、日本の対中感情を悪化させ、対中ビジネスや民間交流を妨げていることを自覚すべきだ。

 首相は韓国の尹錫悦大統領との会談で、首脳が相互に往来する「シャトル外交」の継続で一致した。改善基調にある2国間関係を後戻りさせないためには、両国民がその恩恵を実感できるようにすることが大切だ。

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