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金与正氏「再び発見されたら必ず恐ろしい惨事」と報復示唆…平壌に独裁批判ビラ、無人機でまかれる

読売新聞 / 2024年10月13日 22時45分

 【ソウル=依田和彩】北朝鮮の首都平壌ピョンヤン上空に3、9、10日に飛来した無人機から北朝鮮の独裁体制を批判するビラがまかれたと北朝鮮が主張する事件を巡り、金与正キムヨジョン朝鮮労働党副部長は12日、「再び発見されたら必ず恐ろしい惨事が起きる」と韓国への報復を示唆する談話を出した。

 朝鮮中央通信によると北朝鮮軍総参謀部は12日、軍事境界線付近の部隊に砲撃準備を指示した。誰が無人機を飛ばしたのか不明な中、南北の緊張が高まっている。

 北朝鮮外務省が無人機の飛来を非難した11日、韓国軍合同参謀本部関係者は「無人機を送ったことはない」としたが、その日のうちに「事実かどうか確認できない」と説明を変えた。

 与正氏は12日の声明で韓国の民間団体が無人機を飛ばした可能性にも触れ「(韓国)軍が傍観したのならそれは故意的な黙認、共謀だ」と非難した。

 韓国大統領府の申源湜シンウォンシク国家安保室長は13日に出演したKBSテレビの番組で「北朝鮮の話について事実をいちいち話す必要はない」と語った。この対応ぶりを巡っては「北朝鮮の探りに応じない」(中央日報電子版)、「曖昧にすることで北朝鮮側に混乱をもたらす」(聯合ニュース)との見方がある。北朝鮮もゴミをぶら下げた風船を韓国に飛ばしており、非難する立場にないとの考えもある。

 保守、尹錫悦ユンソンニョル政権が民間団体のビラまきを「表現の自由」として容認していることもあり、活動に参加する民間団体は多様化し、使用する機材も高度化している(表参照)。

 韓国の脱北者団体「自由北韓運動連合」や「北韓同胞直接支援運動」は本紙や韓国メディアに対し、今回の無人機に関与していないと語ったが、尹政権が全ての団体の活動を把握しているかどうかは不明だ。

金正恩 キムジョンウン 党総書記や与正氏が、ビラまきや韓国軍による軍事境界線での拡声機放送に神経をとがらせているのは間違いない。韓国に憧れを抱く若い世代の体制離反を招きかねないためだ。特に、権力中枢に近い幹部が集まる平壌が今後も狙われれば実力行使に出るシナリオも否定できない。

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