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英語留学、安い・近いだけでないフィリピンの魅力

読売新聞 / 2024年10月14日 5時0分

 アジアの英語学習者の留学先としてフィリピンが注目されている。安さと近さ以外の魅力もあるからだ。

観光も魅力

 日本から直行便で4~5時間で、費用も欧米に留学した場合と比べ3分の1から半分程度で済む。欧米には少ないマンツーマン式の授業や、授業以外の時間を近隣の島などで過ごせ、観光が一体となったプランもある。「オプションの多さとコストパフォーマンスの良さ」が人気の秘密とフィリピンの英語留学に詳しい亜細亜大の小張順弘准教授(社会言語学)は指摘する。

 中部マクタン島で日系大手語学学校が運営する「QQイングリッシュ ビーチフロント校」は、ビーチまで徒歩5分。海の脇に受講生が無料で利用できるプールもある。時間割は自由で、午前に学んで午後ビーチで過ごすこともできる。

 ブースでは、フィリピン人講師と1対1の授業が行われていた。50分間、英語だけで持ちこたえられるよう訓練する。討論中心のグループレッスンもある。

 神奈川県の大学生、鈴木貫永さん(20)は、アルバイトでためたお金で5週間、留学中だ。「価格が手頃で海がある環境も魅力だった。将来はオーストラリアで働いてみたい」と語った。受講者の半分は学生だが、海外移住のための子連れ留学や定年退職者も増えている。

 語学学校は、北部ルソン島の避暑地バギオや、ダイビングスポットとして有名なボラカイ島に近い中部イロイロにもある。

 フィリピンは米国の植民地だった20世紀前半の約40年間に米国英語が根付いた。日常会話ではタガログ語を主体としたフィリピン語が使われるが、小学校から英語教育がある。街中の看板やテレビ、政府の文書でもふんだんに使われている。

 フェルディナンド・マルコス比大統領は昨年2月の訪日時、東京で行われた観光関係者との会合で「フィリピン人の英語力の高さは売りの一つだ。フィリピンほど英語が学べる場所は他にない」と述べてアピールした。

韓国学生が注目

 小張准教授によると、フィリピンへの語学留学の先駆けは韓国だ。学歴社会の韓国で富裕層でない学生が、欧米に代わる留学先として目を付けた。1990年代初頭から韓国資本の民間の語学学校が建設された。90年代後半、アジア通貨危機に見舞われた韓国では国際的な競争力の一層の強化が叫ばれるようになり、留学の流れを後押しした。

 日本が参入したのはその後だ。日系資本が2010年以降、韓国が建てた学校を買収していった。教育と商業の中心だったセブ州を中心にマニラ首都圏、中部ドゥマゲテなどに展開している。日本の留学事業者ら65団体が加盟する「海外留学協議会」(東京)によると18年のフィリピンへの留学者数は8232人で、米国、オーストラリア、カナダに次ぐ。

東南アジア経済成長 物価上昇の兆し

 フィリピンへの留学は、アジア全体に広がりつつある。

 QQイングリッシュで学ぶ30歳代のタイ人女性は、果物の輸出業で使う英語力の向上が目標だ。「物価が安く、タイに似ていて暮らしやすい」と話す。同校の日本人受講生は全体の約半分で、残りはモンゴル、台湾、ベトナム、中国などだ。

 課題もある。東南アジアの著しい経済成長でフィリピンの物価や平均給与はうなぎ登りだ。低価格をこれからも売りにできるとは限らない。

 ネイティブが教える米国や英国、豪州と異なり、フィリピン人の多くにとって英語は第二言語にすぎない。なまりがある人もおり、教員のレベルに差がある。今後は、統一された基準による教員向けの資格の確立が求められそうだ。

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