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藤川球児・阪神新監督、娘から「何もしない父親は嫌だ」と言われる…岡田監督からは「必ず行くから」

読売新聞 / 2024年10月15日 20時52分

就任記者会見に臨む阪神の藤川球児新監督(15日、大阪市内のホテルで)

 阪神の新監督への就任が14日に発表された藤川球児氏(44)が15日、大阪市内で記者会見し、「真っすぐに、愚直に、真心を込めてチームを預かり、日本一になりたい」と抱負を述べた。3年契約で、背番号は現役時代に背負った「22」に決まった。

 藤川氏は就任要請を受諾した理由について、「18歳で阪神に入団し、米国や独立リーグでもプレーする中、自分の下す決断に自信を持てるようになった。これも運命なのかな。従えという感じですね」と説明した。

 球団は来季、創設90周年の節目を迎える。「当然、勝ちにいく。今後の100年、200年に向け、阪神を愛される球団にする義務が私にもある」と力強く語った。

新監督の一問一答

 阪神の藤川球児新監督と報道陣の主なやり取りは以下の通り。

 ――今の率直な気持ちは。

 「このチームにはビジョンがあり、それがつながっている。岡田監督が指揮をとったこの2年間は非常に強く、チームが成熟してきたのは自分も見ていた。チームの中、または外から見てきたところもあったので、この(就任という)流れになったのかなと」

 ――就任を決断した理由は。

 「特にないです。自然なのかなと。タイガースに18歳で入団し、米国、独立リーグにも行く中で、自分の下す決断に少しずつ自信を持つことができた。どんな道を選んでも、自分の中で正解にできるんじゃないかと。周りは『うまくいかないことがある』と言うかもしれないが、僕はどちらにしても大丈夫だと思っている。自分の決断に間違いない」

 ――岡田監督の後を継ぐことについては。

 「それも全て必然。僕が1年目の時に岡田監督が二軍監督の1年目だった。タイガースが来年90周年を迎えることも含め、全ての流れが不自然なことがない。これも運命なのかな、従えという感じですね」

 ――岡田監督から学んで大切にしていることは。

 「いざこの場に立って、この会見とともに監督というものをスタートするんですけど、普通にやったらいい、それに尽きる。これがリーダーの仕事かなと思いますね」

 ――背番号22は岡田監督が託した番号だが。

 「正直、岡田監督からもらった番号でなければ、全くこだわりはなかった。僕自身、30番で入団して、92番、22番となり、米国で11番、それから21番。それから11番になり、阪神で18番。たくさんの番号をつけてきたが、皆さんの印象に残っていることを含めて考えたところ、番号も空いていますし。背中は見えないんで、何番でもいいと言うんですが、みなさんから見た時、選手が見た時の印象もありますから、距離感というところでは、もしかしたら近くに見えるかもしれないっていうところで、いいかもしれないですね」

 ――理想のチーム、野球は。

 「本当は言いたくないんですけど。戦う前には。新たに就任する監督であって、来年に向けてコーチ陣ともまだビジョンを共有していないわけで。その段階でメッセージとして、固まってしまった意見を述べるのは正直控えたい。岡田監督と戦ってきたコーチ、選手たちが持っている野球観はすごく大事。意思の疎通を図ってから決断したい」

――現状のチームをどう見るのか。

 「前年度日本一、今年度も2位まで、最後に強烈に追い上げた。はっきり言えば監督力。選手たちも脂がのっていると思います。岡田監督は駒が変わっても同じような順位に持ってくるだけの力がありました。なので、僕も頑張ります」

――現在のチームの強みは。

 「3点取ったら、しっかり試合を(勝って)終わらせる安定感のある野球。僕もそこがベースになる」

 ――強化したい点は。

 「非常に難しいが、ベテランと言われる選手。勝てば勝つほど重圧、求められる責任感が大きくなる。その中で、監督、コーチではない立場から、この気持ちを受け流して、いやこういう時はこうするんだよっていうような選手はほしいし、なってもらいたい。ただ、必要なのは力です。力が必要なのは間違いないです。力がないベテランっていうのは、僕は必要ないです」

 ――二軍の球場も新たにできる。育成、強化についてはどう考えるか。

 「少し話の視点が変わりますが、地域密着はどの球団にも必要。過疎化が進み、もっとスポーツから元気を与えて、夢のある世界を広げないといけない。もちろんファームの選手は大事だが、球場の周りをどう美しく、魅力のあるところにするか。せっかく90周年を迎える阪神の監督という役割をいただいたので、今後100年、200年に向けて、いかに阪神を愛される球団にするか、私にも義務があると思っています」

 ――柱として活躍してほしい選手がいれば。

 「グラウンドに出た時には、いわゆるプレーのすばらしさ、能力が必要なわけですよね。僕も現役を辞めて分かったんですが、タイガースの選手は辞めても愛される。もしかしたら、どれだけプレーが出来るかは関係ないかもしれない。でも、相手を倒すという意味では、絶対的な力が必要なので、どんな選手と聞かれたら、能力のある選手。うちにも優秀なデータ班がいます。それを今後生かしながら、球団と一緒に選手にアプローチをかけていく。感情的にならず、選手が一番荒ぶるのがグラウンドであるような状態に持っていきたいと思ってます」

 ――FA(フリーエージェント)などによる戦力補強は。

 「実際、まだ(活躍)できるという選手がリリースされて、他球団でチャンスを求めなきゃいけないような状況に今、タイガースはなっています。これは米国では当然だし、チャンスがある選手が他球団でプレーする(機会を得る)というのは、そうあるべきだと思います。僕自身、FAで海外に出てますから、(FA権を取得した阪神の選手には)残ってくれという思いは当然あります。だけれども、このチームに尽くすしかないという風な感情にはなってもらいたくない。その中で僕と一緒に野球がしたければ、飛び込んでくれるだろうし、出なきゃいけなかったら出る。(本人たちの)判断を待ちたい」

 ――新監督として目指すものは。

 「勝ちにいきます。当然、勝ちにいく。なので、プライベートで僕のことを知ってる選手もいますけど、監督として向き合います。兄貴分みたいなところはコーチも数名いますから、担当分けしながら、主体的に動いてもらって、それを吸い上げる形で決断を下して、グラウンドで最高のものを出し、他球団と勝負する」

 ――ファンにメッセージを。

 「(現役引退後の)4年間も、SNSなどで本当にお世話になったし、たくさんの人に出会えて社会人として勉強できた。僕の中では経験こそが財産と学んだ。なので、真っすぐに、愚直に真心を込めて、このチームを預からせてもらって、岡田監督が残した思い、OBの方々が89年間残してきた思いをつないで、それをまた次の世代につながなきゃいけないと思います。おじいちゃん、おばあちゃん、お子さん、テレビの前でもラジオでも新聞でも、『面白いな』と言われるチームを作りますんで、よろしくお願いします」

 ――岡田監督とやりとりは。

 「今朝、連絡しました。すごく疲れているであろうところだけど、明るく気丈に『頑張れよ』と。『ご指導お願いします』と伝えたら、『必ず行くから』と。僕にとって大恩師、一番の恩師ですから。これからもお世話にならないといけない。また疲れが癒えたら、みなさんの前に来てくれるだろうし、僕を後ろで支えてくれると思う」

 ――理想のリーダー像を挙げるとすれば。

 「岡田監督です。岡田監督のもとで鍛えられたコーチがいるので、教えを請うて頑張っていきます」

 ――コーチとの関係はどう作るのか。

 「監督なんで指示は出さないといけないが、それよりもコーチに主体的に動いてもらう。皆まで言わないことが非常に大事かなと。全部を言うと、聞くだけになる。それを上からしてしまうと、選手までそういうことになりかねない。それは危機を感じてまして。まだしばらく時間がありますから、なんとか春までに仕上げたいと思います」

 ――(現役引退後)12球団を見てきたことが生きる。

 「チームカラーが12球団全て違う。米国を含めても全部違う。タイガースにはタイガースならではの特徴、色がある。他球団と比べるのは難しい。ただ、野球に関してはストロングポイント、やっぱりホーム球場のアドバンテージをしっかり生かす。これが絶対だと思います」

 ――(就任要請は)迷いなく受諾した。

「そうですね。恩返しと言いますか、(阪神は)自分にとって父とか母とかっていう表現をいつもしてるので、帰ってきて仕事してほしいと、お願いされたら、僕にとってはそれだけで感謝。60歳、70歳で期待をされても、多分応えられないと思う」

 ――目指すのは、自身もプレーした(2004年~08年の)第1次岡田政権のような大人の集団か。

「いや、(今の選手は)分からないと思います。かなり前のことなんで。彼らにそれは求めないですね。やっぱり野球って、ものすごく速く流れていくし、僕の頭の中の引き出しと、コーチ、球団の引き出しを出して、サポートしていくことになる」

 ――いずれは監督をするという思いはあった。

「本当は何もしないって、やめた時に決めてたんですけど。まず娘から『何もしない父親は嫌だ』と言われて。『お父さんがずっと家にいるの嫌だ』って言われたんで、やっぱ働かなきゃなっていうのがあって。40歳から家にいるお父さん見たくないわってところで、もう1回働き始めたというのが本当で。家族が別にそれでよければ、たぶんそういうことは想像しなかったとは思いますね」

 ――なんとなく監督をするかなみたいな気持ちは。

「これ、ないんですよね。結局僕、岡田監督に1年でも長く元気にやってほしいとずっと思ってて、なんか体調のこととか、本当に今しんどいのかなと思いながらも、僕も周りから聞くだけなんで。だけど、そこはもうそれだけですかね」

――オファーを受けて初めて(就任という気持ちが)芽生えた。

 「それしかないですよね」

 ―家族の反応は。

 「無視です。家に仕事も持ち込まないんで。いろんな生き方をしてきたから、(家族も)そんなに気にならないですね。僕の人生をタイガースで少しの間使っていただくと。時代の流れの中で、(次世代に)つなげるという仕事ですね」

 ――コーチ経験のないまま監督になることについて、いろんな意見がある。

 「全く僕に関係ないですもんね。僕がやることなんで、結局自分が何をするかしか考えていないので。人それぞれの人生。決めた以上は考えてやるだけで、それ以外の声っていうのは(気にならない)」

 ――阪神の監督は批判を浴びることもある。覚悟は。

「全然平気です。平気というか、経験してるし、それがなくなった経験もあるんで。結局、一過性のもんなんです。全然たいした話じゃないんです」「僕がやることは、チームをどうやって運営して勝たせるかっていうことなんで、どう言われるかっていうのは全く(関係)ないですね」

 ――来年は球団90周年。今年は巨人が90周年で勝ったから、次は阪神の番か。

 「これはもうみんなが思ってますから、それは当然ですよ。(報道陣にも)選手たちをその気にさせるようなメッセージを残してもらえたら嬉しいですね」

 ――対巨人への強い思いは選手にも伝えるか。

 「東と西という文化の問題なんで、阪神と巨人っていうのは。関西出身の選手も巨人にいるし、そこをまず選手たちは分からないんでね。みなさんがなぜ阪神を応援し、巨人を応援するかっていうのは、東と西の文化で、(野球の歴史が)90年以上ある中で楽しみ方の一つ。(ファンが)その戦いを楽しみにするんじゃないかという思いでプレーすればいいのでは」

 ―勝ちパターンの投手の重要性は。

 「(その話は)また他のコーチの方とお会いしてから。みんな頭が切れるコーチばかりなので。みんなで話し合ってから、(報道陣には)その時に担当コーチから話を聞いてもらったらいいかなと思います」

 ――選手との距離感はどう考えるか。岡田監督は昭和的とされるが。

 「僕も昭和生まれだし、米国(のやり方が)がいいのかというと、そうとも思わない。シーズン中は、選手たちがヒーローになっている時なのか、少しヒットが出てない時なのかっていうのがあるんで、一概には言えないですよね。僕の感情の揺れ動きもあるんで」

 ――言う時は言う。

 「担当コーチがするんじゃない? それだけできる人たちなんで。岡田監督のもとでやってきた人たちなので、それを信用して」

 ――秋季練習は顔を出すのか。

 「選手の表情を見るというのは、当たり前だと思うんです。選手が不安がったり、迷わせたりしないことがすごく大事なんで。何したらいいんだろう?っていうのが最初、やっぱり指導者やリーダーが変わると絶対それが出る。何をしたらいいと疑問に思うと前に動いてくれないんで」

 ――ドラフトには自身のカラーを反映するのか。

 「なんのカラーがあるんですか。球団はずっとドラフトは計画的にやってきてますから。監督が代わる度に選手が替わってしまうとダブつくんでね、戦力というところが。ちなみに今何も(自身のプランは)持ってないです。球団のプランが成功してきてるんで」

 ――SNSをやめたが。

 「24時間、監督としてやっていくことになるだろうし、没頭したいっていうことですね。まっすぐ入り込まないと選手たちもやっぱりぼやけてくるんで、そこにまず自分が集中する」

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