ドア開閉やワイパーなど制御ソフトを共通化、トヨタ・ホンダ・日産が連携で合意…自動運転も視野
読売新聞 / 2024年10月16日 15時0分
トヨタ自動車とホンダ、日産自動車が、車に搭載するソフトウェア開発での連携推進で合意したことが分かった。ドア、窓の開き具合やワイパーの動き方といった「車体制御」の仕様の共通化を検討する。このほかスズキや半導体、通信大手は2024年度中に、自動運転や地図情報などのソフト開発で協力する。車の先端技術で先行する米中メーカーに対抗するため、日本勢の連携が加速する。
経済産業省や自動車大手幹部らが17日にも、千葉市の幕張メッセで開催中の「ジャパンモビリティショービズウィーク」で方針を説明する。
共通化するのは、「API」と呼ばれるソフトやシステム間をつなぐ基盤部分の仕様。様々なソフトをメーカーの垣根を越えて搭載できるようにする。ソフト開発を手がける企業も参入しやすくなり、日本全体の競争力向上が期待される。
こうした連携は、経産省が「SDV」と呼ばれる次世代車の開発を推進するために自動車大手などと新設する「モビリティDXプラットフォーム」の取り組みの一環だ。トヨタ、ホンダ、日産は将来、自動運転領域でも連携することを視野に入れる。
次世代車開発の推進に向け、人材育成も強化する。経産省が作成するデジタル分野の人材育成指針にSDV分野を加え、講座の提供などで車載ソフトに強い人材を育てる。大学など教育機関との連携も加速させる。
SDVでは米中勢が先行する。米電気自動車(EV)大手テスラが業界でいち早く取り入れ、車を販売した後も稼げる仕組みを確立した。中国は21年以降、業界でAPIを共通化する取り組みを進め、先端技術の開発を加速させている。
政府はこうした状況に危機感を強め、今年5月に自動車のデジタル化戦略を策定。30年時点のSDVの世界販売で、日本勢が3割のシェア(占有率)を確保する目標を掲げ、国内勢の連携を促してきた。SDVなどの次世代車はソフトの優劣が競争力に直結するため、官民一体で巻き返しを図る。
◆SDV=インターネットを通じてソフトウェアを更新し、車の機能を追加したり、性能を向上させたりできる次世代車。米テスラが導入して以降、開発競争が激化している。英語の「Software Defined Vehicle(ソフトウェアが定義する車)」の頭文字。
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