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高齢者は何歳から?実は日本に定義なし…総務省、65歳以上人口を高齢者人口として公表

読売新聞 / 2024年10月17日 5時0分

 人生100年時代と言われ、健康で長生きする人が増える中、「65歳以上が高齢者なのか」という議論がたびたび起きる。今年5月には、政府の経済財政諮問会議に出席した民間議員から、高齢者の定義を5歳引き上げるよう提言が出た。皆さんにとっての高齢者は何歳からですか。

年金や介護「65歳」免許講習「70歳」

 旧石器・縄文時代は15歳前後、平安時代は30歳代、江戸時代は30~40歳代――。諸説あるものの、日本人の平均寿命だ。栄養状態や衛生環境の改善などによって著しく延び、2023年は男性81歳、女性87歳となった。

 実は、何歳からを高齢者とするかの基準は日本にない。政府は閣議決定した答弁書(17年2月)で、「一律の定義をしているものではない」とした。

 「65歳以上イコール高齢者」とのイメージが広がったのは、1956年の国連リポートで、65歳以上が7%を占める社会を「高齢化社会」と呼んだことが影響している。当時、日本人の平均寿命は男性63歳、女性67歳だった。

 総務省は毎年9月の敬老の日に合わせ、65歳以上人口を高齢者人口として公表する。2024年は3625万人だった。担当者は「諸外国と比較する際も便利なため、国連の定義を基にしている」と説明する。

 老後に関わる国の制度には、65歳以上を対象とするものは多い。公的年金の受給や介護保険サービスの利用は原則65歳からだ。一方、道路交通法は、免許更新時に70歳以上を対象に動体視力や視野を測定するといった講習の受講を義務付けている。

 民間でも、「シニア割」などと銘打ち、様々な割引制度を設けているが、バラバラだ。航空会社には、65歳以上の運賃割引がある。映画館は、60歳以上のお得な鑑賞券を用意している。

 高齢者と呼ぶ年齢の引き上げを求める声が上がるのは、70歳代以降の心身の状態が向上しているからだ。スポーツ庁の「体力・運動能力調査」(2022年度)によると、6分間に歩行する距離(平均値)は、70~74歳の男性は605メートル、女性は568メートルだった。20年前の65~69歳の結果とあまり変わらない。握力や上体起こしの数値も向上している。

 心身に不調がある人の割合も減っている。10年の国民生活基礎調査では、70歳以上で「もの忘れ」を訴える人は1000人のうち122人だったが、22年は91.5人に減少。「耳のきこえにくさ」も115.9人から106.1人になった。

 国立長寿医療研究センターで理事長特任補佐を務める鈴木隆雄さん(73)は「様々なデータから、高齢者の身体機能が若返っているのは確かだ」と指摘する。医療や介護予防サービスの充実、健康への関心の高さが要因とみる。ただ、老化の表れ方には個人差が大きいことから、鈴木さんは「平均値が改善していても、誰もが若返っているわけではない」とくぎを刺す。

 65歳以降も働く人が増えている。総務省の調査では、2023年に70歳以上で働く人は約531万人と、15年前の2倍になった。

 日本マクドナルドでは、店舗で働く60歳以上を「プレミアムエイジクルー」と呼ぶ。全国に約1万2000人おり、このうち約5000人は70歳以上だ。大阪府東大阪市の「イオン鴻池店」の白石真弓さん(70)は、接客や配膳のスタッフとして週5日、1日7時間働く。「新しいメニューなど覚えることがたくさんあって、毎日に刺激がある。足腰が元気なうちは、まだまだ高齢者じゃないという気持ち」と語る。

 内閣府が、60歳以上の男女3000人に何歳くらいまで収入のある仕事をしたいかを尋ねた調査(19年度)では、65歳が25.6%と最多だった一方、70歳は21.7%、75歳も11.9%あった。今後も働くシニアは増えそうだ。

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