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中国初の核実験から60年、高まる脅威…核・ミサイル戦力の急速な高度化に各国から懸念

読売新聞 / 2024年10月17日 6時50分

 【瀋陽=出水翔太朗】中国が1964年に初めて核実験を行ってから、16日で60年を迎えた。ウクライナ侵略でロシアが核による威嚇を強める中、核・ミサイル戦力の高度化を急速に進める中国に対し、各国から懸念が広がっている。

「独占を打破」

 国営新華社通信は16日、「東方からの巨大な音に世界が驚いた」とする記事で60年前の原爆実験の意義を強調した。中国は50年代に核開発を始めた。当初はソ連の技術援助を受けたが、中ソ対立で技術者が引き揚げた中で開発した経緯があり、核実験の成功を「超大国による(核技術の)独占を打破した」と位置付ける。「両弾一星」と呼ばれる方針の下、核爆弾と弾道ミサイル、人工衛星の開発が並行して進められた。

 中国は核政策の基本方針として先制不使用や最低限の核戦力保持を主張する。中国外務省報道官は16日の記者会見で「先制不使用政策は核軍縮のプロセスを推進し、戦略リスクを削減してきた」と強調した。

台湾有事

 ただ、米政府や専門家は、中国が姿勢を転換する可能性を警戒する。ウクライナを侵略するロシアのプーチン大統領が核の威嚇を続け、台湾有事への懸念も深まっているためだ。習近平シージンピン国家主席は2022年に「強大な戦略抑止力システムを構築する」と述べ、米国を念頭に核戦力強化の必要性を強調した。

 中国は核弾頭や大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの保有数を公表していないが、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は6月、中国が保有する核弾頭数は前年より90発多い500発だとする推計を公表した。米国防総省が昨年公表した中国の軍事・安全保障に関する年次報告書でも、30年に核弾頭数が1000発を超す可能性が高いと指摘した。

 この報告書は、福建省で建設が進む高速増殖炉が核弾頭の増強に使われる可能性に言及した。高速炉は消費した以上のエネルギーを生み出せる原子炉だが、核燃料を再処理すれば兵器に転用できるプルトニウムの抽出も可能だ。公開情報が少ないことも、日米などの専門家らの不信感を募らせる一因となっている。

ミサイル開発も

 中国は9月、訓練用の模擬弾頭を搭載したICBMを発射した。米本土に到達可能なICBM「DF(東風)41」などが使われた可能性が指摘されており、台湾有事で米国の介入をけん制する思惑とみられる。

 笹川平和財団の小林祐喜研究員は「中国が核戦略を変えつつあるのは間違いない。核心的利益と位置付ける台湾や南シナ海の問題を巡り米国の介入を抑止するため、今後も核戦力の増強を続けるだろう」と話した。

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