タイヤ外れたトラックを異常認識後も運転、もう1本脱落したタイヤ直撃で男性死亡…運転手と整備担当2人を容疑で書類送検
読売新聞 / 2024年10月17日 16時44分
青森県八戸市の東北自動車道八戸線を走行していた大型トラックのタイヤが外れ、直撃するなどした男性2人を死傷させたとして、トラックを運行していた盛運輸(青森市)の当時の運転手と、トラックの整備担当者2人が16日、書類送検された。青森県警は車体の整備や点検を管理する側の責任も重くとらえた形だ。
発表によると、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で送検されたのは、当時トラックを運転していた男(61)。業務上過失致死傷容疑で送検されたのは同社岩手営業所(岩手県矢巾町)の整備管理者(53)と整備士(42)の男。整備管理者は資格要件があり、日常的な点検などを監督する。事故を受け、国土交通省は4月、男を整備管理者から解任するよう同社に命じていた。
事故は2023年12月1日午後3時50分頃、八戸線八戸西スマートインターチェンジ(IC)―八戸北IC間の下り線で起きた。運転手は、左後輪タイヤ1本が外れ、走行機能の異常を認識したにもかかわらず運転を継続。もう1本を脱落させ、路肩で交通規制用の機材を撤去していた青森県八戸市の会社員木村泰輔さん(当時32歳)に直撃させて死亡させ、一緒にいた木村さんの父親に軽いけがを負わせた疑い。
整備管理者と整備士は同年11月15日、同営業所の整備場で、大型トラックのタイヤ交換の際に適切な整備を怠るなどし、死傷事故を起こした疑いがある。
木村さんを直撃したタイヤは現場近くで見つかり、最初に外れたタイヤはさらに約2・5キロ南で見つかった。盛運輸によると、車体の異常を認識した運転手が車を止め、タイヤ2本の脱落に気付いたのは八戸北ICの出口を出た直後だったという。
外れたタイヤは直径約80センチ、重さ約70キロ。国交省によると、事故車両のタイヤは不適切な部品の使用、さびによる劣化が見つかっていた。
県警幹部によると、この大型トラックは、整備担当者による日常的な整備、点検に不適切な点が複数あり、運転手も運行前の点検が不十分だったという。運行を管理する側と運転手の過失が重なった結果、事故を引き起こしたと判断した。
盛運輸は事故後、タイヤが外れにくくなる器具を大型トラックの左後輪に付けたほか、メーカーやディーラーによる講習を運転手や整備士に受けさせたり、日常点検の用紙を新しくしたりといった対策を導入した。
社員3人の書類送検を受け、盛大剛社長は取材に「亡くなった木村さんや遺族に深くおわび申し上げる。再発防止に取り組んでいく」と話した。
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