「いつになったら日本人学校を排除できるのか」…深圳男児刺殺1か月、中国のSNSに今も反日書き込み
読売新聞 / 2024年10月18日 21時12分
【北京=吉永亜希子】中国広東省深圳市で、日本人の男子児童(10)が中国人の男(44)に刺殺された事件は18日、発生から1か月となった。中国で日本人が被害者となる事件の背景には、SNSで多い反日的な言論があるとも指摘されているが、中国のSNSには、今も日本人学校を敵視する書き込みが残る。専門家は今後も反日感情の高まりに留意する必要を指摘する。
「いつになったら中国のすべての日本人学校を排除できるのか」「日本のスパイ養成の拠点だ」
今月15日、男児が通っていた深圳日本人学校の登校再開を伝える日本メディアを引用した中国語の報道に、事実無根のコメントが並んだ。反日感情をあおる動画などは、中国のSNSで閲覧数が伸びる傾向があり、注目や関心を集める手段として利用されてきた。
日本人学校は地元政府などの認可がなければ開校できず、SNSで流布する「スパイ養成」機関とはなり得ない。中国の法律では、学校の教材や教職員も地元政府の監督やチェックを受ける仕組みだ。
中国当局は、人工知能(AI)で不都合な投稿を削除できる。深圳での事件直後の9月21日には、SNSなどを運営するプラットフォーマーが90以上のアカウントを削除したと発表したが、悪質投稿がなくならないのは、政権側が「ガス抜き」として見逃している可能性もある。外務省の岩本桂一領事局長は17日、中国外務次官らと会談した際、反日的な投稿の取り締まりを要請した。中国側は「事実に基づかない投稿が多い」との認識を示したが、日本人学校を敵視する投稿が一掃される見込みは低い。
日中関係に詳しい神田外語大の興梠一郎教授(現代中国論)は「中国では政権の情報発信により人々の対日感情もコントロールされ、両国関係が芳しくない時に政権は歴史問題を利用する傾向にある。中国で活動する企業や個人は、リスクを軽視せず自衛に努めることが肝要だ」と指摘している。
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