「早大三羽がらす」武井隆次さんの箱根予選会解説…「酷暑」のレースで集団走だけでない駅伝対応力も試された
読売新聞 / 2024年10月19日 17時5分
第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=関東学生陸上競技連盟主催、読売新聞社共催)の予選会が19日、東京都立川市内で行われ、トップ通過の立教大など10校が本大会へのキップをつかんだ。1990年代の箱根路を沸かせた「早大三羽がらす」の一人として知られる武井隆次さん(53)が、レースを振り返った。
スタート時から、強い日差しで気温がじりじりと上がっていった今年の予選会。留学生の先頭集団はそれほどペースが落ちなかったが、10月半ばにしては過酷なコンディションでそれより下の集団の走りがやや詰まっていた印象だ。
序盤の陸上自衛隊立川駐屯地内と中盤の市街地は平坦で走りやすい、15キロ付近からの国営昭和記念公園内はアップダウンがあり、集団走でもばらける展開になる。エースを生かしたうえで、後半にいかにタイムを落とさないかの勝負になった。
終始ペースが安定していた立教大、日体大
典型的だったのは13位の国士舘大で、前半は留学生エースと集団走がうまくかみ合っていたが、後半は崩れて順位を落としてしまった。前半で前につけていたチームの多くが後半はペースを落とした中で、集団走の巧さが光ったのはトップ通過の立教大と4位の日本体育大だ。
立教大は各走者が大崩れせず、10人中8人が個人2けた順位で走った。日本体育大学は集団走にはもともと定評があり、前半から前に着け、さらに上がっていくうまいレース運びだった。ともに強力な留学生エースこそいないが、終始安定して走り切った。2位の専修大、3位の山梨学院大は大躍進で、留学生エースが実力を出し、後ろも大崩れせずにまとめた。
きょうのようなコンディションでは、例年に増して、より後半型のチーム作りをしておくことが大事だと感じた。
「トップ候補」東海大は無念の敗退
私がトップ通過の本命の一角と予想していた東海大だが、10位の順天堂大と2分余りの差で14位だった。10人目で走っていた選手がゴール目前で走れなくなり、途中棄権をしたことが何とも不運だった。それまでは予選通過圏内で走っていたと見られるが、予選会は上位10人の合計タイムで競うだけに痛恨のアクシデントだった。予選会のコースは最後、曲がりながらのぼってゴールするので、きょうのような暑い日では、疲労困憊の選手にあのような「事故」も起きやすいのではないかと思っている。
1秒差で明暗分けた順天堂大と東京農業大
10位の順天堂大と11位の東京農業大がわずか1秒差で明暗を分けた。東農大は絶対的エースの前田和摩(2年)が不在だったが、あと一歩のところまでよく頑張った。来年以降の復活への期待を抱かせるレースだった。
個人の走りでは、日本人トップ(全体10位)となった中央学院大の吉田礼志(4年)の走りに注目した。あわよくば、留学生集団についていくプランもあったようだが、冷静に切り替えた。先頭集団の様子を見ながら落ちてくる留学生選手を拾い、タイムを刻んでうまく走った。日本人エースがタイムを稼いでくれたのでチームも楽になった。
昨年は予選会通過を逃した東京国際大も8位で通過した。ハーフマラソンの日本学生記録を持つリチャード・エティーリ(2年)は中盤で失速して個人11位。この時期でまだ十分に仕上がっていなかったのか。さらに他の選手が途中棄権もするピンチだったが、3秒差で本大会出場を逃した昨年の悔しさを晴らそうと、チームが強い意志で乗り切った。
今年は厳しい天候条件があり、もともと集団記録会という性格を持つ予選会が、今年は駅伝本大会のようにハーフマラソンの距離を1人で走るランナーの対応力など、パフォーマンスが試されるレースになった。例年、予選会を上位通過したチームでも本大会で結果が出せないことがあるが、過酷な状況でいい成績が出せたチームは、本大会でも期待が出来ると思う。
たけい・りゅうじ 1971年生まれ。東京・国学院久我山高で高校初の5000メートル13分台をマーク。早大時代は箱根駅伝で4年連続区間賞(1区、1区、7区、4区)、うち3度が区間新記録で、同期の花田勝彦、櫛部静二と並び「三羽がらす」と呼ばれた。卒業後はエスビー食品で2002年びわ湖毎日マラソンを2時間8分35秒で優勝。02年アジア大会男子マラソン銅メダル。引退後はエスビー食品のコーチ、監督を歴任。現在は「したまちアスリートクラブ」の監督として小、中学生を中心とした後進ランナーの指導にあたっている。
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