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自民党本部に火炎瓶の男、反原発運動に熱心で最近はこもりがちに…父「政権に強い不満持っていた」

読売新聞 / 2024年10月19日 22時15分

 東京都千代田区永田町で19日早朝、男が自民党本部前で火炎瓶5本ほどを投げた上、乗ってきた軽ワゴン車で首相官邸前に移動して防護柵に突っ込んだ。警視庁は埼玉県川口市差間、職業不詳臼田敦伸容疑者(49)を公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。

 衆院選期間中の事件発生を受け、警察庁は都道府県警に対し、重要施設での車両突入防止対策の徹底や要人への警護強化を指示した。

 発表によると、自民党本部前の事件があったのは同日午前5時43分頃。火炎瓶は党本部の門扉と警視庁機動隊の車両のバンパー付近を焼き、一部は党本部敷地内に投げ入れられていた。

 臼田容疑者は投てきの直前、党本部前で警戒中の警察官に高圧洗浄機のようなもので液体を噴射していた。

 同5時52分頃には、首相官邸前の防護柵に軽ワゴン車で突っ込み、警察官に発煙筒のようなものを投げた疑いで逮捕された。調べに黙秘している。二つの事件によるけが人はなかった。

 捜査関係者によると、車内にはガラス瓶に着火剤2本を粘着テープで取り付けた複数の火炎瓶や、油のような液体が入ったポリタンク約20個が積まれていた。ガスボンベや発煙筒のようなものも複数発見された。

 臼田容疑者は当時、防護服のようなものを着用。軽ワゴン車の方にも発煙筒を投げた上、車内に火を付け、車の一部を焼いたという。

 臼田容疑者は川口市出身。2009年の衆院選に埼玉2区から「供託金制度の廃止」を掲げて出馬を検討していた。本人のものとみられるX(旧ツイッター)には22年2月、「誰しもが立候補できない限り、暴力的になるのは必然である」などとする投稿があった。

 警視庁は19日夜、同容疑で臼田容疑者宅を捜索し、詳しい動機を調べている。

 臼田容疑者の父親(79)は19日昼、報道陣の取材に応じ「(臼田容疑者は)反原発運動に熱心で、自公政権に強い不満を持っていた」と明らかにした。

 臼田容疑者は県内の私立高校を卒業後、運送会社のドライバーやウェブデザイナーの仕事をしていた。約15年前から父親と2人で暮らし、東日本大震災後、反原発運動に参加。関西電力大飯原発(福井県)の再稼働を巡っては、泊まり込んで抗議したこともあったという。最近は不定期のアルバイト生活を送り、自宅にこもりがちだったといい、父親は「これまで暴力をふるうトラブルはなかった。非常に残念」と話した。

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