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経済対策 新たな成長の展望がほしい

読売新聞 / 2024年10月20日 5時0分

 日本経済は、長期の停滞から脱却して、新たな成長に向かう大事な局面にある。各党は、予算のバラマキを競うのではなく、成長力を高める具体策を論じ合ってもらいたい。

 経済対策の焦点は、物価高への対応とともに、高い賃上げをどのように定着させていくかだ。

 各党は、当面の物価高対策を公約の柱に据えている。

 自民党は、低所得世帯への給付金の支給を掲げた。コメの価格上昇などに苦しむ家計を支援するために、対策を講じる必要があると考えたのだろう。

 ただ、石破首相が、昨年度の補正予算を上回る経済対策をまとめる方針を表明したことは理解に苦しむ。平時になぜ、13兆円以上もの大規模な補正予算が必要なのか。

 一方、立憲民主党は、中低所得者を対象に、消費税の減税と給付を組み合わせた「給付付き税額控除」の導入を提案した。日本維新の会や、共産党、国民民主党は、消費税の減税を主張している。

 先進国で最悪の水準にある財政状況の中で、代替財源を十分に示さずに減税ばかりアピールするのは責任ある姿勢ではない。財政悪化に伴う将来不安が増幅し、消費の抑制を招きかねないだろう。

 日本経済はデフレから完全脱却できるかどうか正念場にある。

 物価高を上回る賃上げを定着させるには、賃上げと投資がともに増える「成長型経済」へと移行することが不可欠だ。企業の生産性を向上させる成長戦略を練っていかなければならない。

 だが、各党の経済対策は、いずれもスローガンを並べるだけで、どう実現していくのか、具体策に乏しく、説得力を欠いている。

 自民は、職務内容によって処遇を決める「ジョブ型」雇用の推進などを掲げ、立民は、「徹底した人への投資」を訴えている。しかし、日本経済を本格的に復活させる方策としては物足りない。

 日本の名目国内総生産(GDP)は昨年、ドイツに抜かれて世界4位に転落した。国際的な存在感を高めるには、脱炭素やデジタル化といった競争が激しい分野で、打ち勝つ戦略こそが問われよう。

 最低賃金の引き上げも大切だ。与野党は、ほぼ一致して、今の時給1055円から1500円に引き上げることを訴えている。

 だが、雇用の7割を占める中小企業は賃上げの余力に乏しく、実現は容易ではない。中小企業への有効な支援策も示してほしい。

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