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中国EV「欧州進出」の勢い緩めず…EUの追加関税、現地生産で回避も

読売新聞 / 2024年10月21日 17時45分

中国新興EVメーカー小鵬汽車が披露したAI搭載の新型車(パリモーターショーで)=中西梓撮影

 中国の自動車メーカーが欧州市場への攻勢を強めている。欧州連合(EU)による中国製電気自動車(EV)への追加関税が正式発動される見通しだが、進出の勢いを緩める様子はない。これまで中国を主要市場としていた欧州メーカーは、お膝元の市場を奪われかねない状況に追い込まれている。(パリ 中西梓)

続々投入

 中国新興EVメーカーの小鵬汽車は、20日まで開催された世界有数の自動車展示会「パリモーターショー」に初出展し、人工知能(AI)を搭載する新型車を披露した。何小鵬・最高経営責任者(CEO)は「欧州の多くの国で来年発売する」と強調した。

 EUは10月末に、中国製EVに対する追加関税を発動する予定だが、「2025年末までに60か国以上への参入を目指す。欧州は重点市場だ」(小鵬汽車幹部)と意に介さない。

 欧州での現地生産に切り替え、追加関税を回避する動きもある。中国EV大手のBYDは、ハンガリー工場を25年末に稼働させる。

 中国勢の進出の勢いが衰えない背景には、中国国内の競争激化がある。過度な価格競争が繰り広げられ、景気減速も加わって国内需要は頭打ちの状態だ。

 一方、EUは35年からエンジン車の新車販売を原則として禁止とする方針で、欧州はEVの巨大市場だ。中国メーカーは欧州に活路を見いだそうとしており、出展した完成車メーカー48社のうち、中国勢は9社と2割ほどを占めた。

巻き返し

 迎え撃つ欧州メーカーは手頃な価格の小型EVを相次いで披露した。価格を引き下げ、巻き返しを図る。

 仏ルノーは、26年に2万ユーロ(約330万円)未満で発売する予定の新型EV「トゥインゴ」の試作車を初公開した。独フォルクスワーゲン(VW)も小型EVを値下げし、2万7990ユーロで販売すると表明。欧州ステランティスは中国新興のリープモーターと提携し、1万8900ユーロの新型車を投入する。

 それでも、欧州メーカーの苦戦は続きそうだ。伊藤忠総研の深尾三四郎エグゼクティブ・フェローは「追加関税を加えても中国勢の方が安く、欧州での現地生産も進めている。今後は価格だけでなく、AI搭載などの付加価値で勝負する局面になる」と指摘する。

 欧州各国ではEV購入補助金の打ち切りや縮小が続いており、各社は業績見通しの下方修正やコスト削減策を発表している。EUのガソリン車規制に合わせて進めたEVへの積極投資が裏目に出た形だ。EV化目標を後退させる企業も出ており、ガソリン車規制について「欧州自動車産業の脅威になり得る」(BMW首脳)と見直しを求める声も上がっている。

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