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[24衆院選 現場から]小沢一郎氏「最後の戦い」、自民・藤原崇氏「三つの不祥事」で逆風…岩手3区

読売新聞 / 2024年10月21日 15時2分

握手を交わし支持を訴える藤原氏(15日、岩手県奥州市で)

 衆院選公示から初の週末となった19日午後、世界遺産の中尊寺(岩手県平泉町)からほど近いJR平泉駅前に、かつて「剛腕」の異名を取り、政権交代の立役者となった立憲民主党の小沢一郎(82)の姿があった。

 「3度目の政権交代を何としても実現したい。そしてその後、きちんと次の世代にバトンを譲りたい」

 小沢は集まった100人近い聴衆にこう言い切ると、両手でピースサインを作って空高くに突き上げた。

 47歳で自民党幹事長を務めた小沢は、自民を離党した1993年に細川連立政権、2009年には民主党政権を誕生させた。自身の地元でも強固な地盤を築き、衆院選では初当選から17回連続で選挙区を勝ち抜いたが、21年の前回選で初めて敗北を喫し、比例復活に甘んじた。

 「危ねえとなりゃまた入んないと。悪くはないと思うけど、選挙は分からん」

 公示翌日の16日、奥州市の商店街で「第一声」のマイクを握った後、こう語っていた小沢は、19~20日に再び地元入りした。参院岩手選挙区補欠選挙の告示日の10日にも花巻市内で立民公認候補と並んで街頭演説を行っており、終盤に2度目の地元入りをして「異例」と言われた前回選を上回るペースだ。

 後援会は高齢化が進み、小沢が12年に民主党を離党した後、小沢に近い地元の地方議員は分裂した。

 10日の演説後、小沢は駆けつけた後援会連合会の会長代行の高橋浩(89)に「迷惑かけるね」と声をかけた。高橋が「先生と共に生きてきたんだから」と励ますと、小沢は「最後はしっかりやるよ」と応じた。

 「最後の戦い」に向け、高橋は「今回は圧倒的な差をつけて、この岩手3区で勝たなければならない」と意気込む。

 小沢と5度目の対決となる自民の藤原崇(41)は、徹底したどぶ板選挙を展開している。コンビニ、スーパー、市役所、交差点――。藤原の遊説計画には、ほぼ15分刻みで立ち寄り先が書き込まれ、一日で数十か所を回る。

 前回は「政権交代より世代交代」を掲げて約9000票差で小沢に競り勝ち、22年の参院選では、岩手選挙区で広瀬めぐみ(58)が自民候補として30年ぶりに議席を得た。

 だが、小沢の牙城を崩した勢いは、「三つの不祥事」で一変した。

 今年に入り、藤原は所属した安倍派の政治資金規正法違反事件を巡り、収支報告書に14万円の不記載があったことが判明。直後の3月には、自民和歌山県連主催の会合後、露出の多い衣装を着た女性ダンサーのショーを含む懇親会に参加していたとし、党青年局長の辞任に追い込まれた。

 さらに8月には、広瀬が国から公設秘書の給与などをだまし取ったとして詐欺罪で在宅起訴され、追い打ちをかけた。広瀬の議員辞職に伴う補選と衆院選の投開票日が重なることも、猛烈な逆風が吹く要因だ。

 「大きく党や政権への信頼を損ねてしまったこと、私も一端に関与していたことについて、改めておわび申し上げたい。誠に申し訳ございませんでした」

 藤原は19日夕、花巻市の福祉センターで行った演説会の冒頭、集まった住民約80人に深々と頭を下げた。SNSで「未来を変えるのは82歳より41歳」とアピールし、この日も「国の未来を変えるのは我々若い人間の仕事だ」と強調した。

 演説会後、会場の出口には公明党関係者が並び、比例選での公明への投票を呼びかけてビラを配った。不記載で比例選への重複立候補が認められなかった藤原はこれまで以上に公明と連携を強め、こうつぶやく。

 「腹をくくるしかない。ガチンコ勝負だ」(敬称略)

(金山真梨、盛岡支局 松本茉莉)

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