自民党本部襲撃、容疑男の車内にガソリン入り灯油缶１６個…複数のガスボンベも

首相官邸に突っ込もうと入り口付近で止まった車両を調べる警察官（１９日午前８時３５分、東京都千代田区で）＝西孝高撮影

　東京都千代田区の自民党本部と首相官邸が襲撃された事件で、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された職業不詳、臼田敦伸容疑者（４９）（埼玉県川口市）の軽ワゴン車から見つかったポリタンク（灯油缶）約２０個のうち、１６個にガソリンが入っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。臼田容疑者は車で首相官邸の防護柵に突入後、車内に火を付けており、警視庁公安部が詳しい動機を調べている。

　臼田容疑者は１９日早朝、軽ワゴン車で官邸前の防護柵に突入し、警察官に発煙筒のようなものを投げたとして現行犯逮捕された。

　捜査関係者によると、車のトランクには容量１８リットルのポリタンクが約２０個あり、鑑定の結果、１６個の液体はガソリンと確認された。臼田容疑者は逮捕直前、車内に火を付けて前列の座席のシートを焼いていた。

　車内には、複数のカセットコンロ用ガスボンベもあった。臼田容疑者は黙秘しているが、公安部はガソリンを積んだ車を爆発させる狙いがあったとみている。

　一方、臼田容疑者が官邸突入前に自民党本部を襲撃した際、黒色のガスマスクを着けていたことがわかった。車内に殺虫剤の空き缶数個があったことも判明。臼田容疑者は高圧洗浄機のような機材で液体を噴射し、機動隊員３人が喉に軽傷を負っており、公安部は液体の成分の分析を進める。

　公安部は１９日夜、臼田容疑者宅を捜索し、ポリタンクなど計５０点を押収。２０日朝、臼田容疑者を同容疑で東京地検に送検した。