能登大雨1か月 生活の再建へ支援を緩めるな
読売新聞 / 2024年10月21日 5時0分
能登半島地震の被災地を襲った大雨から21日で1か月となる。相次ぐ自然災害で地域や住民が受けた傷は深い。生活を再建するため、支援の手を緩めてはならない。
今回の大雨では、土砂崩れなどで14人が亡くなり、50人近い人が負傷した。住宅の全壊や浸水は1000棟を超え、輪島、珠洲両市などでは今も多くの住民が避難所生活を余儀なくされている。
地震から9か月近くたち、復興へと歩みを進めていた時期に再び大雨の被害を受けた。完成したばかりの仮設住宅から再び避難せざるを得なかった人もいた。たび重なる被災に、住民らが受けたショックの大きさは計り知れない。
地元の自治体は、地震と大雨への対応に加え、衆院選の準備作業にも追われている状況だ。国は地震の後、現地に復興のための支援拠点を開設した。こうした拠点をフル活用し、被災地へのサポートを強化すべきだ。
地域住民らの暮らしを早期に立て直さねばならない。特に、住まいの確保は最優先の課題である。大雨で被害を受けた仮設住宅などの修復を急ぎ、避難所生活の解消を目指す必要がある。
季節はこれから、厳しい冬に向かう。今も避難所で暮らす高齢者らが、健康を害することがないよう、十分に留意してほしい。
一部の地域では、今なお断水が続いているという。暮らしの安定がなければ、仕事の再開も難しいだろう。インフラや道路網の復旧も効率的に進め、一日も早く日常を取り戻せるようにしたい。
被災地の復興には、国や自治体の取り組みだけでなく、ボランティアの活動も欠かせない。損壊した家屋の片付けや泥の除去には多くの人手が要る。力作業になるため、高齢者には難しい。
全国から集まったボランティアがスムーズに活動できるよう、国や自治体は、必要な場所に人員を効果的に配置し、移動や宿泊などの作業環境も整備するなど、十分な目配りをしてもらいたい。
石破首相は所信表明で、避難所の環境改善を掲げた。災害が起きるたび、被災者が体育館の硬い床に寝ることを強いられ、温かい食事も食べることができない現状は、放置できない。
避難所の運営は自治体の役割だと定められているが、災害時には自治体職員も被災し、十分対応できないケースが多い。そのため近年は民間委託する例もある。能登の避難所の問題点も洗い出し、見直しに生かしてほしい。
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