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IT導入補助金、3割の中小事業者が不適切受給…会計検査院が10億円の支出を「問題」と指摘

読売新聞 / 2024年10月21日 22時5分

会計検査院

 中小事業者へのIT導入を進める独立行政法人「中小企業基盤整備機構」の補助金について、3割の事業者が、導入支援にあたる業者(ベンダー)からのキックバック分を含めて申請するなど、不適切な受給をしていたことが会計検査院の抽出調査でわかった。この補助金を巡っては、ITの導入効果が正確に報告されていないことなども調査で判明し、全体では約10億円の支出が問題と指摘された。

 検査院によると、機構は業務用ソフトウェアを導入する事業者らに対し、国の交付金などを原資として、導入費用の一部を補助している。事業者は、事務局を担う一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」の審査を経て登録されたベンダーに、事業費などを支払ってソフトウェアを導入し、保守管理などのサービスを受けていた。

 検査院がこの「IT導入補助金」を2020~22年度に受給した376事業者を調べたところ、118事業者(31%)で計約3億9800万円の不適切受給が判明。これらの事業者は、ベンダーからキックバックを受けた分まで含めて補助金を申請するなどしており、中には補助金が事業費を上回り、利益を得ていたケースもあったという。

 たとえば、電子商取引サイトなどを導入した福岡市の美容関係会社は協議会に事業費を約1500万円と報告し、約920万円の補助金を受給していた。だが検査院の調べで、ベンダーから約750万円のキックバックを受けていたことがわかり、事業費が穴埋めされただけでなく、170万円超の利益を得ていた。

 同社を含め、不適切受給があった多くの事業者は、ベンダーから「自己負担せずにソフトウェアを導入できる」「負担額を上回る報酬を得ることができる」などと勧誘されていた。キックバックは、「新規顧客の紹介料」などの名目だったが実態はなく、虚偽の契約書が作成されていた事例もあったという。

 検査院によると、協議会は6月までにベンダーの79業者に不正受給などへの関与の疑いがあることを把握したが、機構は、警察の捜査が行われる可能性などを理由に立ち入り調査を実施していなかった。検査院は、機構の対応には問題があったと指摘し、協議会についても、ベンダーの審査が不十分だったとした。

 検査院は21日、機構や所管官庁の中小企業庁に対し、補助金を返還させるほか、審査の厳格化などの対策を求めた。機構は「指摘を重く受け止めている。改善に努めていく」とし、同庁は「再発防止策を確実に履行するよう指導、助言する」とコメントした。

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